それぞれに別の名前が…
フランス語の動物の名前は、本当にややこしいです。
基本になるのはオスの名前ですが、その動物のメスが女性形になるだけのこともあれば、まったく別の名前になることがあります。
そして同じ動物の子どもにも、さらに別の名前が存在します。
つまり1種類の動物なのに、3つの別の名前をすべて覚えなければならないのがフランス語なのです。
そこで、この負担を少しでも軽くしようと考え、できるだけイメージしやすく、会話の中で使われることが多いフレーズで、基本形のオス・メス・子どもの名前を、動物ごとにご紹介します。
その第10回目は、オオカミです。
フランス語のオオカミ
まず、オオカミの3種類の名前をご紹介します。
- un loup(オス/総称)
- une louve(メス)
- un louveteau(子ども)
オオカミは基本形のオス「loup」からメスは語尾だけが変化します。
ただし子どもは「loup」から「louveteau」へ。
子どもはオス・メスにかかわらず、男性名詞になります。
いろいろなオオカミ
オオカミが登場する例文を挙げておきます。
- J’ai une faim de loup !
(おなかがペコペコだ!)
- Elle est une vraie louve.
(彼女は本当に教育ママだ)
- Mon fils est louveteau.
(息子はカブスカウトをやっている)
などがあります。
オオカミはいないが…
例文1の「avoir une faim de loup(ひどい空腹だ・おなかがペコペコだ)」という言い方は、直訳すると「オオカミの空腹である」になります。
フランス語の世界でも、オオカミは他の動物をむさぼり食うイメージがあるので、「オオカミの空腹」が猛烈におなかがすいている状態を表しているのです。
例文2の「être une louve(教育熱心で保護したい母親である)」という言い方は、直訳すると「メスオオカミである」になります。
実際のメスオオカミが教育ママなのかどうかはわかりませんが、やはりこれもイメージから来ている表現です。
それに対し、例文3は「私の息子は子どものオオカミだ」のように見えます。
ただしこの「louveteau」には、冠詞がついていません。
なぜなら、ここでの「louveteau」は、職業の名前や役職の名前などと同じ扱いだからです。
冠詞がついていないので、ここでの「louveteau」は子どものオオカミの意味ではないのです。
例文3にある「カブスカウト」とは、青少年の活動組織である、ボーイスカウトの年齢の低いメンバーのことです。
この息子さんは小学生で、ボーイスカウトに入ってまだ日の浅いメンバーなのだということがわかります。
この3つの例文は、和訳すると、どれもオオカミが消えていますね。
子どものオオカミの理由
ところで、なぜ「louveteau(子オオカミ)」がボーイスカウトの一部の名前になったのでしょうか?
それはボーイスカウトを設立したイギリス人が、主人公がオオカミの群れの中で育つ物語である『ジャングル・ブック』を題材にして教育プログラムを作った影響なのだそうです。
そもそも「カブスカウト」の「カブ(cub)」とは、英語で肉食獣の子どもという意味があるそうで、「louveteau(子オオカミ)」は「カブ」のフランス語訳というわけです。
小さなオオカミとは?
ちなみに、子どもがものすごくやんちゃな場合にも、子どものオオカミになぞらえて表現することがあります。
ただしその場合は、「louveteau(子オオカミ)」を使うよりも、
- C’est un petit loup !
(すごくやんちゃなんだ!)
のように言います。
「un petit loup」は「小さなオオカミ」、つまり「とてもやんちゃな子ども」というわけです。
この場合は職業や役職などの名前のような扱いにはならないので、しっかり冠詞がついています。
ともあれ、農業国で酪農が盛んなフランスでは、よくも悪くもオオカミってけっこう身近な動物です。
「un petit loup(とてもやんちゃな子ども)」という言い方にも、それが表れていますよね!

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