意味が変わった外来語
日本語の外来語「パターン」は英語の「pattern」から入った言葉で、主に3つの意味があります。
1つ目は「模様・柄」で、例としては「花柄のパターン」といったものです。
2つ目は「型・方式・形式」で、例としては「服の型紙」や「攻撃のパターン」など。
3つ目は「類型化された事例・お決まりの流れ」で、「いつも同じパターンだ」などの言い方がそれにあたります。
日本語の「パターン」の使い方をまとめると、
- パターン①「模様・柄」
- パターン②「型・方式・形式」
- パターン③「類型化された事例・お決まりの流れ」
ということになります。
「パターン」と「patron」
前述通り「パターン」は英語由来の外来語ですが、実は英語の「pattern」はフランス語の「patron」が変化してできた単語なので、元はフランス語です。
ただし2025年9月26日の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語㉕パトロンという配信でお伝えした通り、現代の英語にもフランス語の「patron」と同じスペルの単語があるのですが、英語に入ってから意味が一部逆転し、それが日本語の「パトロン」に通じている一面があります。
そしてフランス語の「patron」は、英語に入ってから枝分かれするように「pattern」という単語を生み、それが日本語の「パターン」になったという経緯があります。
そのため、日本語の「パターン」と「パトロン」には共通する意味はありませんが、フランス語の「patron」にはごく一部ながら、「パターン」の意味が含まれているのです。
「パターン」のフランス語訳
では、日本語の「パターン」をフランス語にするなら、どう言えばいいのでしょうか?
「パターン」の持つ、上記3つの意味を1つで表現するフランス語はないので、それぞれを使い分けることになります。
①「模様・柄」= motif / dessin
まず、「パターン」の1つ目の意味「模様・柄」という場合には、文脈によって「motif」または「dessin」を使うと自然です。
- J’aime ce tissu à motif floral.
(この花柄の布が好きだ)
- Ce papier a un dessin géométrique.
(この紙は幾何学模様だ)
②「型・方式・形式」= patron / modèle
「パターン」の2つ目の意味「型・方式・形式」には、「patron」や「modèle」などが使われます。
- J’ai besoin d’un patron pour coudre cette robe.
(このドレスを縫うために型紙が必要だ)
- C’est un modèle de lettre officielle.
(これは公的な手紙のひな型だ)
③「類型化された事例・お決まりの流れ」= schéma / habitude
「パターン」の3つ目の意味「類型化された事例・お決まりの流れ」には、「schéma」や「habitude」などが多くなります。
- C’est toujours le même schéma.
(いつも同じパターンだ)
- Il répète ses vieilles habitudes.
(彼はいつも同じ癖を繰り返す)
「patron」に含まれた「パターン」
フランス語の「patron」は、日本語の「パターン」の大元ではありますが、こうしてみると、「パターン」をフランス語にして「patron」 と言えるのは、「型紙」の意味の時だけです。
先ほど「パターン」の意味の2つ目は「型・方式・形式」としましたが、「型」以外の「方式」や「形式」の意味で「patron」を使うことはできません。
また、同じ「型」でも「お菓子・ケーキの型」なら「moule à gâteau」になるなど、「patron」を使うのは「型紙」という、限られた意味のみなのです。
それにしても、日本語の「パターン」の大元の由来が「patron」だと知ったときには、本当に驚いたのを覚えています。
外来語を見ているだけでは、「パターン」と「パトロン」につながりがあるとは思えないですからね!
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