やっかいな友だち
これで3回目になる長いフレーズを扱ってきましたが、今回で終わります。
今回のキーワードは「parvenir(到着する/到達する)」。
この動詞はこれまで3回ほどご紹介した「17の変わり者動詞」には入らないものの、お友だちなのです。
理由とともにご紹介しますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「elles ne parviennent pas à s’imaginer cette maison.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の中ほどにあります。
第4章の3枚目の挿絵のすぐ後の段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「elles ne parviennent pas」
「elles」は「彼女たち」「それら」、「parviennent」は動詞「parvenir」の活用形(現在形)です。
「parvenir à ~」で「~に到着する」「~に到達する」という意味です。
ここでは「parvenir à +(動詞の原形)」の形で「(どうにか)~し遂げる」という意味になりますが、「ne ~ pas」の否定表現を伴なっています。
「à s’imaginer cette maison」
ここでの「à」は「parvenir à +(動詞の原形)」の一部、「s’imaginer」もその影響で原型になっています。
「s’imaginer」は、「心に思い描く」という意味です。
「cette」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」の女性形単数です。
「maison」は「家」を意味する女性名詞です。
背景を見てみると
語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。
大人たちは物事の本質を見ようとしないので、例えば新しい友だちについて話すなら、その人の年齢や体重、果ては父親の収入など、数字にしか興味がありません。
これは人に関することだけでなく、モノについても同じことです。
その例として、大人たちに言っても理解されない表現で、ステキな家の様子が語られるのですが、今回の扱うのはその終わりにある部分です。
このフレーズの全体は、「J’ai vu une belle maison en briques roses, avec des géraniums aux fenêtres et des colombes sur le toit…elles ne parviennent pas à s’imaginer cette maison.」です。
これを3回に分けてご紹介していて、始めの部分「J’ai vu une belle maison en briques roses,」は第226回で、中ほどの部分「avec des géraniums aux fenêtres et des colombes sur le toit…」は第227回でご紹介しているので、ご参照ください。
ここでの「elles」
さて背景からわかる通り、ここでの「elles(彼女たち/それら)」は、「les grandes personnes(大人たち)」のことです。
複数女性形になっているのは、「les grandes personnes(大人たち)」のうちの名詞部分「personnes」が複数の女性名詞だからです。
辞書を見ると「elles」は「彼女たち」になっていますが、「大人たち」が代名詞になったものなので、この部分を訳すとしたら「彼ら」になります。
「elles」に限ったことではありませんが、フランス語の代名詞の性は、元の名詞が男性名詞か女性名詞かによります。
女性ばかりのグループだから「elles」になったわけではないんですよね!
「s’imaginer」
ところで先ほど、「s’imaginer」は「心に思い描く」という意味だとご紹介しました。
本来は「se」+「imaginer」のところ、「imaginer」が母音から始まっているのでこの形「s’imaginer」になっています。
「se」のつかない「imaginer」は「想像する」「思う」「考える」という意味です。
「s’imaginer」を別々に覚えなくても、「se」の部分(今回のフレーズなら「s’」)を「自分」と捉えることで、「自分に想像させる」つまり「心に思い描く」になります。
詳細については、このシリーズの第140回でご紹介していますので、参照してください。
「parvenir」
そして今回のキーワード「parvenir(到着する/到達する)」。
これはこのシリーズ第198回・第200回・第207回でご紹介した「17の変わり者動詞」には入っていないものの、お友だちです。
「17の変わり者動詞」というのは、私が勝手に命名したものですが、過去を表す時に「être」を使う17の動詞のことです。
下の表をご覧ください。
「parvenir」は「venir(来る)」と同じ扱いをされているのでお友だち。
この中には入れてもらっていませんが、過去を表す時には「être +(過去分詞)」の形になります。
動詞 | 意味 | 登場回 |
Devenir | ||
Revenir | 再び来る/戻ってくる | 第200回 |
Monter | ||
Rester | ||
Sortir | ||
Venir | 来る | 第200回 |
Aller | 行く | 第207回 |
Naître | ||
Descendre | ||
Entrer | ||
Rentrer | ||
Tomber | 倒れる/転ぶ/落ちる | 第198回 |
Retourner | ||
Arriver | ||
Mourir | ||
Partir | ||
Passer |
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント