それぞれに別の名前が…
フランス語の動物の名前は、本当にややこしいです。
基本になるのはオスの名前ですが、その動物のメスが女性形になるだけのこともあれば、まったく別の名前になることがあります。
そして同じ動物の子どもにも、さらに別の名前が存在します。
つまり1種類の動物なのに、3つの別の名前をすべて覚えなければならないのがフランス語なのです。
そこで、この負担を少しでも軽くしようと考え、できるだけイメージしやすく、会話の中で使われることが多いフレーズで、基本形のオス・メス・子どもの名前を、動物ごとにご紹介します。
その第12回目は、シカです。
フランス語のシカ
まず、シカの3種類の名前をご紹介します。
- un cerf(オス/総称)
- une biche(メス)
- un faon(子ども)
シカはオス「cerf」が子音「f」で終わっていますが、この「f」は例外的に発音されます。
メスは全く異なる形の「biche」になります。
シカに関しては、オスの「cerf」が総称ではあるものの、メスの「biche」もかなりの割合で使われます。
子どもはさらに異なる形の「faon」になり、オス・メスにかかわらず、男性名詞になります。
いろいろなシカ
シカが登場する例文を挙げておきます。
- Cette table ancienne a des pieds en sabot de cerf.
(このアンティークテーブルの脚は雄鹿のひづめの形だ)
- Quelqu’un a-t-il un pied-de-biche ?
(誰かバールを持っていない?)
- Il est peureux comme un faon.
(彼は臆病だ)
などがあります。
脚が象徴的なシカ
例文1「Cette table ancienne a des pieds en sabot de cerf.(このアンティークテーブルの脚は雄鹿のひづめの形だ)」のように、シカと言えば脚が象徴的に使われることがよくあります。
例文2の「un pied-de-biche(バール)」も同様で、直訳すると「雌鹿の足」です。
釘などを引き抜く時の道具であるバールが、雌鹿の足の形に似ているところから、このように呼ばれています。
例文3の「être peureux comme un faon(臆病である)」は、直訳すると「小鹿のように怖がりである」という意味です。
似たような表現に「une poule mouillée(腰抜け)」もありますが、こちらは相手をバカにした悪口です。
「être peureux comme un faon(臆病である)」という言い方には、小鹿のように繊細だから怖がっていてかわいそうだというニュアンスが込められていて、同情的です。
「森の王」なのに…
日本でシカは「神様からの使者」のように尊重されている動物ですよね?
フランスでもシカと言えば「森の王」なのですが、狩猟の対象でもあり、頭のいいシカを追い詰めて捕らえるということが、王侯貴族の最高の娯楽とされてきました。
今でもクリスマスのごちそうとして、シーズンになれば、シカ肉のステーキはスーパーでも売られています。
また牡鹿に関しては、少々皮肉な扱い方もされています。
立派な角を持っているということが、「妻に浮気された夫」のシンボルとされるのです。
フランスのシカは、けっこうかわいそうです。

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