場面によって違う使い分け
当然と言えば当然ですが、日本語では「知らない」と「わからない」の意味は異なりますし、きっちり使い分けをしますよね?
でもフランス語だと、「知る」「理解する」という意味の動詞がそれぞれあるにもかかわらず、あまり使い分けがされないことがあります。
にもかかわらず、場合によっては使い分けることも!
場面ごとにご紹介します。
「知る」と「理解する」
「知る」「知っている」という意味の動詞は「savoir」、「理解する」「わかる」は「comprendre」です。
どちらもとてもよく使われる動詞で、次の2つのフレーズは両方ともよく使われますし、日本語同様に「知っている」と「わかっている」の意味の使い分けもされます。
- Je sais.
(知っている) - Je comprends.
(わかっている)
使い分けない場面とは?
ところが、「ne ~ pas」という否定語がついた途端に、この2つは使い分けがされなくなってしまいます。
「知らない」「わからない」の両方を、1つのフレーズで済ませてしまうのです。
- Je ne sais pas.
(知らない/わからない)
どんどんシンプルに!
そして、親しい間柄になればなるほど、どんどん簡略化されます。
まずは「ne」を省略して
- Je sais pas.
さらに主語の「je」まで取ってしまって
- Sais pas.
極め付きは、「sais」の発音まで変わってしまい、
- Chais pas.
という変わりようです。
4つの変化の違いとは?
元の形である「Je ne sais pas.」と、「ne」だけを取った「Je sais pas.」に関しては、親しい間柄かどうかという違いだけですが、他の2つは、よく観察してみると若干意味が変わります。
主語まで取った「Sais pas.」は「知らん」「わからん」の他に「さあ?」というニュアンス、さらに発音まで変えた「Chais pas.」になると、「うーん」や「えっとー…」などの言い淀み状態で使っていることが多いように思います。
ただし、特に「Sais pas.」や「Chais pas.」については、口ぐせのようになってしまっている人がいるので、必ずしもこうした使い分けがされているとは限りません。
それでも「わかりません」という場面とは?
ここまで、「知らない」「わからない」はすべて「Je ne sais pas.」やその省略形などで済ませることをご紹介してきましたが、それでもあえて「Je ne comprends pas.(わかりません)」と言うべき場面もあります。
それは、何か難しい説明などをされている時に、その内容が「理解できない」という意味での「わかりません」という場面などです。
特に仕事上で間違いなどをしてはいけない場面では、しっかりと「理解できない」ということを伝える必要があります。
「知らない」と「わからない」の区別がつきにくい「Je ne sais pas.」では、間違いのもとになるからです。
外国人の「わかりません」
また、フランス語を始めたばかりの外国人が「わかりません」と言いたい場合も、やはり「Je ne sais pas.」ではなく「Je ne comprends pas.」を使うべきです。
「Je ne comprends pas.」という言い方は、若干かたい表現に感じられるため、ネイティブやフランス語に慣れた人には敬遠されることが多いのですが、外国人などの「わかりません」は、話しが別です。
特に相手が親切に「わかりますか?」と聞いてくれている場面で「Je ne sais pas.」などと言ってしまうと、こちらが話しをちゃんと聞いているのかどうかを疑われかねないからです。
ここはやはり、「Je ne comprends pas.」と言うべきですね。
なお、相手と親しくなった場合には「ne」を省略して「Je comprends pas.」と言うのはOK.
でも、「Sais pas.」のように主語を省略することはできませんし、まして「Chais pas.」のように音を変えることなど不可能です。
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