変わり者動詞新メンバーと特殊な女性名詞?
今回のフレーズにある動詞は、変わり者動詞のメンバーです。
過去を表す時に「être」を使う17の動詞の8つ目、「passer」をご紹介します。
そして「personne」は女性名詞のはずなのに、男性扱いされることがあるので、その例を見てみます。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Malheureusement il ne passe jamais personne par ici.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第11章の挿絵から3行目にある見栄っ張りな男のセリフです。
「malheureusement il ne passe jamais personne par ici」
「malheureusement」は「運悪く」「不幸にも」という意味です。
ここでの「il」は形式的な主語、「ne ~ jamais」で「決して~ない」、「passe」は「通り過ぎる」「通る」などの意味の「passer」の活用形(現在形)です。
「personne」は「人」という意味の女性名詞として知られていますが、ここでは「ne ~ personne」の形で「誰も~ない」という意味になります。
「par」は前置詞で、「~を通って」という通過する場所、「~の時に」という時間や時期、「~がもとで」という原因、「~によって」という動作主、または手段や道具などを表すこともあります。
「ici」は「ここ」です。
背景を見てみると
王子さまが2番目に訪問したのは、見栄っ張りな男が1人で暮らす小さな星でした。
この見栄っ張りな男にとって、星にやって来る人は、すべて彼の崇拝者なのでした。
王子さまが男の帽子が風変わりだと指摘すると、男は彼をほめてくれる人に挨拶するための帽子なのだと言い、今回のフレーズを続けるのです。
17の変わり者動詞のメンバー
冒頭で触れた通り、今回のフレーズにある「passer(通り過ぎる/通る)」は、このシリーズの第198回でご紹介した「17の変わり者動詞」の1つです。
「17の変わり者動詞」というのは、私が勝手に命名したものですが、過去を表す時に「être」を使う17の動詞のことです。
「passer」の欄に意味を追加します。
動詞 | 意味 | 登場回 |
Devenir | ~になる | 第242回 |
Revenir | 再び来る/戻ってくる | 第200回 |
Monter | ||
Rester | ||
Sortir | ||
Venir | 来る | 第200回 |
Aller | 行く | 第207回 |
Naître | 生まれる/誕生する | 第340回 |
Descendre | ||
Entrer | ||
Rentrer | ||
Tomber | 倒れる/転ぶ/落ちる | 第198回 |
Retourner | ||
Arriver | ||
Mourir | ||
Partir | 出発する | 第388回 |
Passer | 通り過ぎる/通る | 第398回 |
使用例と注意点
「passer」の過去分詞は「passé」です。
「être +(過去分詞)」の形になった場合の過去分詞は、主語によって形容詞のように性や数を一致させるので、過去分詞の形が変わります。
- Marie et sa copine sont passées par ici.
(マリーとその女友達がここを通った)
この変化については、このシリーズの第388回で例文とともにご紹介していますので、詳細についてはご参照ください。
特殊な「personne」
さて前述通り、「personne」は「人」という意味の女性名詞として覚えていませんか?
けれどここでの「personne」には冠詞がついていません。
それは、女性名詞としての「personne」ではなく、代名詞だからです。
代名詞の場合は今回のフレーズのように、ほとんどは「ne ~ personne」の形で「誰も~ない」という意味になります。
今回のフレーズには「決して~ない」という意味の「ne ~ jamais」があるので、この「ne」は「ne ~ personne」としても使われているということがわかりにくくなっています。
それでも「personne」に冠詞がついていないので、代名詞だと分かります。
ここまでは、このシリーズの第322回で例文とともにご紹介していますので、詳細についてはご参照ください。
男性扱いされる「personne」
そしてその中でも若干触れているのですが、「人」という意味の「personne」は女性名詞であるにもかかわらず、「誰も」という意味である代名詞の「personne」は、男性形として扱われます。
この「男性形として扱われる」というのは何を意味するのかと言うと、形容詞がつくなら、男性形の形容詞がつくということです。
- Personne n’est parfait.
(誰も完ぺきではない)
ここでの「parfait」は男性形になっています。
女性形なら「parfaite」になります。
- La personne n’est pas parfaite.
(その人は完ぺきではない)
同様の例をもう1つご紹介します。
先ほども新メンバーをご紹介したばかりの「17の変わり者動詞」は、過去を表す時に「être」を使いますが、その際、主語が女性名詞なら、過去分詞が女性形になります。
- La personne n’est pas venue.
(その人は来なかった)
主語が「la personne(その人)」なので、過去分詞「venu」が女性形の「venue」になっています。
ですが、冠詞のつかない代名詞の「personne(誰も)」なら、元の男性形のままです。
- Personne n’est venu.
(誰も来なかった)
冠詞がなければ代名詞
代名詞の例としてご紹介した2つのフレーズは、話し言葉だと否定語の「ne」やその省略形である「n’」を取ってしまうことがよくあります。
- Personne est parfait.
(誰も完ぺきではない)
- Personne est venu.
(誰も来なかった)
省略してしまうと、慣れないうちは否定文に見えないのですが、「personne」に冠詞がついていなければ代名詞で「誰も」という意味になるので、否定文として会話が成立します。
ただし書き言葉では否定語を省略しないことになっているので、注意してくださいね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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