ルールがわかればスッキリ!
フランス語の人称代名詞と言えば、「je(わたし)」「tu(きみ)」などが真っ先に思い浮かぶと思いますが、これは主語になる形で「主格」と呼ばれます。
同じ人称代名詞でも目的語になる場合は「目的格」という別の形があり、「~を」になるものを「直接目的」、「~に」になるものを「間接目的」と言います。
ところが、その語順に不可解なルールが存在するので、まとめます。
理由がわかれば、スッキリしますよ!
人称代名詞目的格とは?
日本語の人称代名詞は、「わたし」「きみ」という部分に変化はありません。
「~は」や「~が」という助詞がつけば主語になり、「~を」や「~に」という助詞がつけば目的語になるので、主格や目的格という別の形になることはありません。
ところが、フランス語には「強勢形」という形までを含めると、4種類あります。
上記の色のついた部分である、直接目的と間接目的が今回のテーマです。
カッコの中の「m’」や「t’」などは、次の単語が母音から始まる場合の形です。
どちらか1つのフレーズについて
今回扱うのは、この直接目的と間接目的が両方含まれるフレーズについてです。
どちらか1つだけを含むフレーズについては、このブログとポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】というシリーズにて、すでに扱っています。
「~を」の直接目的の例文は、このシリーズの第338回を、「~に」の間接目的の例文は、このシリーズの第339回を参照してください。
「君にこれをあげる」はOK
さて前述通り、今回扱うのはこの直接目的と間接目的が両方含まれる場合です。
例えば「君にこれをあげる」というフレーズです。
このフレーズなら、「君に」が2人称代名詞単数間接目的、「これを」が3人称代名詞単数直接目的です。
フランス語だと「Je vais te le donner.」になります。
このフレーズの「te」は「君に」、「le」は「これを」に当たるので、この場合の人称代名詞の語順は、日本語と同じです。
「彼にこれをあげる」はNG
ここで、「君にこれをあげる」の「君に」を「彼に」に置き換えて「彼にこれをあげる」にしてみます。
このフレーズの場合は、「彼に」が3人称代名詞単数間接目的、「これを」が3人称代名詞単数直接目的です。
フランス語の「彼に」は「lui」、「これを」は「le」なのですが、この場合は日本語と同じ語順にはなりません。
フランス語だと「Je vais le lui donner.」になります。
「彼にこれをあげる」ではなく、「これを彼にあげる」の語順になるのです。
日本語だと、語順を変えても若干のニュアンスの違いだけで済みますが、フランス語の場合はこの語順でなければ間違いになります。
語順ルールと覚え方
というのもフランス語には、1人称・2人称の代名詞(me, te, nous, vous)が使われる場合は、必ず最初に配置されるというルールがあるのです。
そのため「Je vais te le donner.」になり、「te(君に)」→「le(これを)」の順番になります。
ところが直接目的・間接目的の両方が3人称の場合は、直接目的語(le, la, les)は、間接目的語(lui, leur)の前に配置されるというルールがあるのです。
そのせいで「Je vais le lui donner.」になり、「le(これを)」→「lui(彼に)」の順番になるのです。
「わたしと君ファースト(1・2人称が必ず最初)」「これを彼に(直接→間接)」と覚えましょう!
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