二重にお得な表現!
今回のフレーズには再帰代名詞が含まれているのですが、かなりわかりやすい例です。
また日本人に理解しやすい意味であり、よく使う表現でもあるので、このまま覚えるのに最適です。
なお、人称代名詞の目的格との違いも整理できて、本当にお得です!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Ah !」と「Je me réveille à peine…」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第8章の最初の会話部分にある、バラの花のセリフです。
「ah !」「je me réveille à peine」
「ah !」は感嘆詞の「ああ!」、「je」は「わたし」です。
ここでの「me」は再帰代名詞、「réveille」は「目覚めさせる」という意味の「réveiller」の活用形(現在形)です。
ただし再帰代名詞を伴なう代名動詞としての使い方ですので、再帰代名詞の部分を「自分を」または「自分に」と捉えます。
すると「自分を目覚めさせる」、つまり「目が覚める」という意味になります。
「à peine」は副詞句で、「ほとんど~ない」という否定、または「~したばかり」という意味になります。
背景を見てみると
遠く離れた地球の、それも人里離れた砂漠で、王子さまは自分の星に残してきた1輪の花を思っています。
王子さまの星にはシンプルな花はたくさんありましたが、ある時見たこともない植物が生えてきて観察していると、他の花とは違った様子でした。
今回のフレーズは、日の出とともに花開いたバラの第一声です。
フレーズの意味
このバラの花の第一声「Ah ! Je me réveille à peine…」は、「ああ!わたし目が覚めた(起きた)ばかり…」ということです。
再帰代名詞や代名動詞というと、苦手意識を持つ方も多いのですが、ここでは前述通り「réveiller(目覚めさせる)」に再帰代名詞がついたものです。
なので「自分を目覚めさせる」、つまり「目が覚める」「起きる」という意味になります。
1文字だけで激変?
そしてこの「Je me réveille.」というフレーズをベースにして考えると、再帰代名詞や代名動詞と、人称代名詞の目的格との関係がスッキリします。
何度も言っている通り、「Je me réveille.」の「me」は再帰代名詞なので「自分を」と捉えられます。
ただしこれを「te(君を)」に変えると、「réveiller(目覚めさせる)」は本来の意味になります。
「te(君を)」という人称代名詞の目的格を伴なった、普通の他動詞になるのです。
つまり「me」が「te」になるだけで、まったく意味が変わります。
- Je me réveille.(目覚める)
- Je te réveille.(君を起こす)
まとめ
この「Je 〇〇 réveille.」という形は、〇〇に「me」が入った時のみ「目覚める」という意味になり、それ以外は「(人を)起こす」になります。
再帰代名詞を伴なって「目覚める」という意味になる場合を左側に、「わたしが○○を起こす」を右側にして、まとめます。
目覚める | 起こす |
Je me réveille. | ————– |
Tu te réveilles. | Je te réveille. |
Il se réveille. | Je le réveille. |
Elle se réveille. | Je la réveille. |
Nous nous réveillons. | ————– |
Vous vous réveillez. | Je vous réveille. |
Ils se réveillent. | Je les réveille. |
Elles se réveillent. | Je les réveille. |
注意点
注意点がいくつかあります。
人称代名詞目的格の太字の部分は、再帰代名詞とは異なります。
とくに3人称単数形では「le(彼を)」「la(彼女を)」になっており、男性形と女性形が違います。
なお、今回ご紹介した人称代名詞目的格は、「~を」の意味になる直接目的のみです。
「~に」の意味になる間接目的は、このシリーズの次回、第339回でご紹介します。
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