別れのあいさつの後に
別れの挨拶と言えば、「Au revoir.」や「À bientôt.」などがよく使われていますが、こうした挨拶は、ある意味再会が前提になっています。
それに対し「Adieu.」だと金輪際の別れになるわけですが、それに続けることが多い「お幸せに!」の言い方をご存じですか?
別れる時に相手の幸せを願う言葉はいくつかありますが、今回はその2つ目、「Que le bonheur t’accompagne.」をご紹介します。
一歩踏み込んだ願い
相手の幸福を願う「お幸せに!」に近い表現は、このブログとポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】というシリーズの第354回で、すでに扱っています。
そして前回「お幸せに!」①では、シンプルな「Sois heureux.」と「Sois heureuse.」などをご紹介しました。
今回の「Que le bonheur t’accompagne.」は、願いや祈りを表す「que」がつくことで、直訳すると「幸せが君に伴いますように」という、一歩踏み込んだ幸せを願う表現になっています。
相手との関係性で変わる点
「Que le bonheur t’accompagne.」は、相手が親しい間柄の人限定の表現です。
2人称が「tu(きみ)」の人に使うフレーズだということですね。
2人称が「vous(あなた)」の人に使うなら、「Que le bonheur vous accompagne.」になります。
この場合、「vous」の語尾の「s」と「accompagne」の語頭の「a」が一緒に発音されます。
ただし「母音に挟まれた『S』の発音は『Z』になる」というルールがあるので、注意してください。
文法上は?
文法的上、ここでの「que」は接続詞です。
フレーズの先頭に来て、「Que + 主語 + 動詞」という形で願いや祈りを表現し、「~でありますように」のニュアンスを表します。
主語の「le bonheur」のうち、「le」は定冠詞単数男性形、「bonheur」は「幸せ」を意味する男性名詞です。
残りの「t’accompagne」は、2人称代名詞単数目的格の「te」の省略形「t’」と動詞「accompagner」の活用形「accompagne」が合わさったものです。
「accompagne」が母音から始まっているので「te」が「t’」になり、一緒に発音されます。
なお、2人称が「vous(あなた)」の人に使う「Que le bonheur vous accompagne.」での「vous」も、主語として使う時の形と同じではありますが、目的格です。
動詞の「accompagner」は、「~と一緒に行く」「~の供をする」「~に伴う」という意味です。
ここで使われている活用形「accompagne」は、「直説法現在」と呼ばれる普通の現在形と同じ形ですが、実は「接続法現在」です。
「Que + 主語 + 動詞」という形の動詞は、接続法が使われることになっているからです。
接続法に関しては、普段私は覚えることをおススメしていないのですが、前回や今回のフレーズのような場面で時々使うので、あえてご紹介しました。
他の用途も!
前回の「Sois heureux.」などでも触れましたが、今回の「Que le bonheur t’accompagne.」も、結婚する人へのはなむけとして使われることの多いフレーズです。
主語が「le bonheur」なので、相手の性別に関係なく、このまま使えます。
そして2人称が「vous(あなた)」の人に使う「Que le bonheur vous accompagne.」があることも覚えておけば、便利な場合があります。
それは、2人称が「tu(きみ)」の人が相手であっても、相手が複数なら「vous」になるので、結婚する2人に対して言うなら、1人ずつの場合は「tu」の関係性であっても、「Que le bonheur vous accompagne.」と言うことになるからです。
逆に言えば、「vous」を使うことで、「お二人の幸せを祈っているよ!」という気持ちが伝わります。
和訳すると…
直訳すると「Que le bonheur t’accompagne.」は「幸せが君に伴いますように」、「Que le bonheur vous accompagne.」は「幸せがあなた(またはあなたたち)に伴いますように」ですが、その意味するところは「どうかお幸せに!」ということです。
シンプルな「お幸せに!」よりも、一歩踏み込んだ幸せを願うフレーズですよね!
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