若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第30回目「cardio」です。
「cardio」とは?
「cardio」とは、「cardiologue(心臓専門医)」または「cardiologie(心臓科)」のことです。
「cardiologue」の場合は「心臓専門の医師」、「cardiologie」なら「診療科としての心臓科」という意味なのですが、「cardio」はどちらの意味にもなります。
使われているのが医師としての「cardio」なのか、診療科としての「cardio」なのかは、文脈で判断することになります。
つまり2025年4月7日配信の【フランス語のフレーズ】日常会話で使う略語㉘で扱った「dermato」などと同様です。
使用例
「cardio」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。
- Elle a rendez-vous chez le cardio demain.
(彼女は明日心臓科の予約がある)
- Il est hospitalisé en cardio.
(彼は心臓科に入院している)
この2つの「cardio」は、和訳するとどちらも「心臓科」になりますが、「chez le cardio」なら「心臓科の医師」、「en cardio」なら「診療科としての心臓科」のことを指しています。
ちなみに、「avoir rendez-vous」という形で「予約がある」という意味になります。
なので厳密に言えば、「J’ai rendez-vous chez le cardio.」なら「心臓専門医との予約」、「J’ai rendez-vous en cardio.」なら「診療科としての心臓科の予約」ということになります。
ただし実際に使う際には、あまり厳密に考える必要はありません。
医師なのか診療科なのかを気にしなくても、「心臓科」だということがわかっていれば、意味は通じるからです。
目上の人や顧客相手なら?
「cardio」という言い方はかなり以前からあり、フランス人ネイティブで知らない人はいないと思います。
でも目上の人や顧客相手なら「cardio」とは言わず、本来の言い方をした方がいいかもしれません。
その場合は、「cardiologue(心臓専門医)」と「cardiologie(心臓科)」を区別することになります。
つまり前述の2つのフレーズは、次のようになります。
- Elle a rendez-vous chez le cardio demain.
→ Elle a rendez-vous chez le cardiologue demain.
(彼女は明日心臓科の予約があります)
- Il est hospitalisé en cardio.
→ Il est hospitalisé en cardiologie.
(彼は心臓科に入院しています)
「病院」と「入院」のちがい
ところで、「être hospitalisé(入院している)」は「hospitaliser(入院させる)」という動詞の受動態です。
「être hospitalisé en ~」という形で、「~に入院している」という意味になります。
そして「hospitaliser(入院させる)」という動詞は、語源をたどれば「病院」と同じラテン語から派生しています。
ただしラテン語由来の他の言語とは異なり、フランス語では「s」がつかず「o」も帽子つきの「ô」である「hôpital(病院)」です。
それにもかかわらず、動詞の「hospitaliser(入院させる)」には「s」がつき、「o」に帽子もないので、注意してくださいね。
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