若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第26回目「compta」です。
「compta」とは?
「compta」とは、「comptable」の略で、「会計係」「会計士」という意味です。
元の単語「comptable」は「e」で終わる名詞なので、男女同形です。
「comptable」には「会計の」という意味もあり、この場合は形容詞ですが、「compta」という略語には形容詞としての働きはありません。
フランス人ネイティブで「compta」の意味がわからない人はいないと思いますが、若干の若者臭さを感じさせるくだけた表現なので、使い方には注意が必要です。
使用例
「compta」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。
- Elle est compta dans la grosse boîte.
(彼女は大きな会社で会計士をしている)
若者臭さが残る「compta」なので、スラングとしての「boîte(会社/職場)」と相性がよく、この例文のように一緒に使われることがよくあります。
スラングとしての「boîte」については、このシリーズの第23回「boîte」でご紹介していますので、よろしければ参照してください。
目上の人や顧客相手なら?
前述通り「compta」は若者言葉、「boîte(会社/職場)」はスラングなので、目上の人や顧客相手には「comptable」「entreprise(企業/会社)」などを使います。
- Elle est comptable dans une grande entreprise.
(彼女は大きな会社で会計士をしている)
なお、このフレーズの「entreprise(企業/会社)」の代わりに「société(会社/法人)」にすることもでき、こうした言い方ならどんな相手にも使えます。
言葉づかいの違いは距離の違い
ところで、今回ご紹介している2つのフレーズに、名詞以外の違いがあることをお気づきでしょうか?
意味はどちらも「彼女は大きな会社で会計士をしている」です。
でも実は、冠詞が違うのです。
- Elle est compta dans la grosse boîte.
- Elle est comptable dans une grande entreprise.
くだけた表現の場合
「compta(会計士)」と「boîte(会社/職場)」を使ったくだけた表現では、会話の中でお互いが何について話しているか、どの企業を指しているかがすでにわかり合っているので、「la grosse boîte」のように定冠詞「la」を使って特定の企業を指し示します。
これは、親しい間柄での会話でよく使われる表現です。
相手もその企業について知っていることが前提です。
正式な表現の場合
その一方で、「comptable(会計士)」と「entreprise(企業/会社)」などを使った正式な表現や一般的な言い回しでは、相手が具体的な企業について知らない可能性があります。
そのため、「une grande entreprise」のように不定冠詞「une」を使います。
これは、「大企業」という一般的な概念やカテゴリを指しているので、具体的な企業が特定されていないからです。
敬語にも通じる関係性
日本語の敬語でも、使えば立場をわきまえていることを示せたり、使う人の品性を上げたりもします。
でも使いすぎれば、相手との距離ができてしまうという副作用も。
フランス語には日本語の敬語レベルの表現はありませんが、それでも今回の例のように、相手との関係性によって使う単語を選んだりはします。
そうした関係性や会話の状況によって、冠詞の使い方が自然に変わってくるのです。
「compta(会計士)」や「boîte(会社/職場)」などの若者言葉やスラングなどは、やはり立場や相手を選ぶべきではあるものの、極端に毛嫌いする必要もないということですね!
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