さらに意味が変わる「bête」
このブログとポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】というシリーズの第365回で、「bête」という名詞には意味の幅がかなりあるということを扱いました。
1つの単語で「野獣」にも「虫」にもなるのですが、「大きい」「小さい」などの形容詞がついていても、必ずしもサイズ感と一致しない不思議なことばです。
そして「bête」が形容詞になると、さらに意味が変わります。
名詞としての「bête」
名詞としての「bête」は「動物」「けもの」「家畜」「(小さな)生物」「虫」という意味で、女性名詞です。
「gros(大きな/太った)」という形容詞をつけた「grosse bête」で、トラなどの「野獣」や「大きな動物」という意味になることがあります。
(注:「bête」が女性名詞なので、形容詞も女性形)
そうかと思えば、同じ「grosse bête」でも、「(その人にとっての)大きな虫」になる場合もあるというのは、【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】の第365回でご紹介した通りです。
形容詞はあてにならない?
つまり「grosse bête」という言葉は、トラやライオンなどの野獣という意味にも、大きめの虫という意味にもなり、それは人や状況などによります。
「grosse bête」の反対語は「petite bête」ですが、同じように「小動物」という意味にも、「ごく小さな虫」という意味にもなります。
つまり、形容詞のサイズ感がそのまま「bête」の大きさに当てはまるわけではないのです。
形容詞の「bête」
そして「bête」は、牛や豚などの家畜を指す言葉としても使われます。
ニワトリやカモなどの鳥類には使いませんが、ウサギ以外の四つ足の家畜は「bête」と呼ばれます。
なお、「bête」は名詞としてだけでなく、形容詞としても使われる単語です。
形容詞としての意味は「愚かな」「バカな」なので、注意して使う必要があるのですが、親しい間柄では、けっこうよく使います。
形容詞としての使用例
- Tu es bête !
(君はバカだ! → バカだね~!)
直訳すると「君はバカだ!」になってしまいますが、「bête」は「バカ」というよりは、関西の人たちがよく使う「アホ」に近い感覚です。
そのため、「Tu es bête !(バカだね~!)」という感じです。
さらにくだけた言い方
なおとてもくだけた表現なので、「Tu es」の部分も短くしてしまい、「T’es bête !」のように言うこともしばしばです。
本当に親しい間柄なら、さらにこういう言い方もします。
- T’es bête ou quoi ?
(君はバカそれとも何? → バカじゃないの?)
中学生などが冗談を言い、このフレーズを言い合っては笑い転げているところなども、よく見かけます。
いわゆる「箸が転げても笑う」状態ですね!
ただし、あくまでも「本当に親しい間柄」限定のフレーズなので、使う場合はくれぐれもご注意くださいね!
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