別れの後は?
王子さまと別れた後を描く、この作品の最終章では、語り手の男性の「現在」の様子が書かれています。
心の持ちようで、男性は肯定的になったり、否定的になったりを繰り返しているようです。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Alors je suis heureux.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第27章の前半にあります。
第27章の4つ目の段落の2番目にあるフレーズで、語り手の男性が思っていることです。
「alors」
「alors」は、「その時」「それなら」「それだから」などという意味です。
また、疑問やいら立ち・驚き・感嘆などの強調として使われることがあります。
「je suis」
「je」は、「わたし」「僕」「オレ」などに相当する、1人称代名詞単数です。
「suis」は、être動詞の1人称単数の活用形です。
「heureux」
「heureux」は形容詞で、「幸福な」「幸運な」「運がよい」などの意味です。
女性形は「heureuse」になり、発音が変わります。
背景を見てみると
王子さまが自分の星に戻ったと確信している語り手の男性には、夜空の星たちが鈴の音を鳴らしているかのように感じています。
でも、とても大事なことに気づいてしまったのです。
というのも、男性が描いた羊には、王子さまのリクエストにより、バラの花を食べてしまわないようにくつわも描き足してあるのですが、男性はそのくつわに、皮のひもをつけ忘れてしまったのです。
ということは、羊にくつわをはめることは不可能だということ。
そこで、男性は想像を巡らせることになるのです。
今回のフレーズの部分では、羊はバラの花を食べていません。
王子さまは毎晩、ガラスの覆いを花にかぶせてやり、王子さまはキチンと羊を見張っているからです。
ここでの「alors」
ところで先ほど、「alors」は、「その時」「それなら」「それだから」などという意味であり、強調としても使われることがあるとご紹介しましたが、ここではどの使い方でしょうか?
今回のフレーズの直前では、詳細背景でご紹介した通り、花にはガラスの覆いがかかっていて、羊もキチンと見張られています。
ですので、ここでの「alors」は、「それなら」や「それだから」の意味だと考えられますよね?
「alors」は、いろいろな意味で使えて便利なのですが、その分、文脈などを考えて理解する必要がある単語でもあります。
幸・不幸は紙一重
今回のフレーズの部分では、語り手の男性は肯定的に考えているので、幸せな気分で夜空を眺めています。
でも、その後の部分では急に不安になってしまいます。
たったひと晩、王子さまがガラスの覆いを忘れただけで、もしくは、くつわのない羊が、音もなく外に出てしまったら…と想像してしまうのです。
『星の王子さま』という作品の中では、何度も「幸福とは何か」について考えさせられる部分がありますが、今回のフレーズはダイレクトに「幸福」という単語を使っています。
結局、自分次第で、幸福にも不幸にもなるということを言っているように感じます。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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