工夫が必須!
日本語の外来語「カーディガン」は英語から入った言葉で、「寒いからカーディガンを羽織る」のように使われます。
前開きでボタンやジッパーがついた ニットの上着で、主に 防寒・重ね着 のために着るものです。
冬に着る厚手のものから、夏の冷房対策のために着る薄手のものまで、かなり幅広く使われる言葉です。
また、学生服や職場の制服の一部としてのカーディガンもあります。
普段は気にも留めずに使っている「カーディガン」という言葉ですが、このように意外と広い意味があるので、フランス語で同じことを言おうとすると、ひと言では表せなくなります。
「カーディガン」と「cardigan」
前述通り「カーディガン」は英語由来の外来語ですが、同様に英語からフランス語にも入り、「cardigan」という男性名詞になっています。
意味は「前開きのニットの上着」で、日本語とほぼ同じですが、フランス語ではやや軽め・エレガントなイメージ が強いです。
厚手のものは別の呼び方をされることがあるのです。
「cardigan」は、どちらかというとジッパーよりはボタンつきであり、比較的薄手な服を指すことが多いです。
つまり「カーディガン」と「cardigan」は、同じ服だけど、感じ方に少し差がある、ということです。
フランス語では「実用的な上着」というよりも、「柔らかく上品なニット」としてのニュアンスがやや強めです。
「gilet」とは?
「cardigan」は英語由来の外来語ですが、類義語としてフランス語には「gilet」という単語があります。
「gilet」も前開きで羽織る服なのですが、素材はニットとは限らず、厚みも様々です。
またさらに、「gilet」には袖のないベストのようなタイプもあり、必ずしも上品な羽織ものとも限りません。
というのも、工事中の作業員が着るような、オレンジや黄色などの安全用ベストも「gilet」だからです。
要するにフランス人ネイティブの感覚としては、前開きの服としての「gilet」というカテゴリーがあり、その中には袖のあるものもないものもあり、またファッション性の高いもの・実用的な安全服なども含まれています。
そのカテゴリーの一部として、ファッション性の高い「cardigan」が存在しているということです。
「カーディガンを着る」のフランス語訳
では、「カーディガンを着る」と言いたい場合、「gilet」「cardigan」のどちらを使うべきでしょうか?
よく似た2つの例文で、感覚の違いを見てみます。
- Je mets mon gilet le soir.
- Je mets mon cardigan le soir.
1は「gilet」、2は「cardigan」を使っているという違いだけで、どちらも「夜カーディガンを着る」と言っています。
ただし「gilet」を使った1のフレーズでは、夜になって冷えてきたなどの実用的な理由でカーディガンを着たのであり、さらには着たのがカーディガンではなかった可能性があります。
前述通り「gilet」には袖のないタイプも含まれるので、上着の中にベストを着こんだのかもしれないのです。
それに対し、「cardigan」を使った2のフレーズでは、お気に入りのニットを羽織る感覚があります。
寒くなったなどの実用面というよりは、おしゃれな感覚が前面に出るのです。
もちろん「肌寒くなったので羽織る」という場合もありますが、あくまでも軽い感覚です。
つまり「カーディガンを着る」と言いたい場合、防寒目的などの実用面で「着こむ」なら「gilet」、多少の肌寒さやおしゃれ感覚で「羽織る」なら「cardigan」になることが多いのです。
ネイティブに聞いても…
なお、以上のことを踏まえていても、「gilet」と「cardigan」は混同して使われる可能性があります。
フランス人ネイティブにその違いを聞いても、「同じ」「変わらない」と言われてしまうかもしれないのです。
というのも、例えば通販サイトを見てみると、カテゴリーとして「gilet / cardigan」のように書いてあることがよくあります。
ネイティブ感覚でも、違いがよく分からない面があるからです。
置き換え不可の例とは?
ただし、2018年から2019年にかけてフランスで起きた「黄色いベスト運動」を覚えていらっしゃるでしょうか?
フランスで自動車の車内常備が義務付けられている、黄色い安全ベストを着た人たちが、全国的に大規模な集団で行動したもので、日本でも大きく報道されました。
この黄色い安全ベストを「gilet jaune」と言い、「Mouvement des Gilets jaunes(黄色いベスト運動)」と報道されました。
この場合の「gilet」は、間違っても「cardigan」で置き換えることはできないので、「gilet」と「cardigan」の混同が起きるのは、ファッション性がある場合のみです。

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