意味が限定された外来語
「レシピ」と「レシート」、一見すると何の意味のつながりもないのですが、この2つの言葉の語源を知ると、実は親戚同士だったことがわかります。
どちらも英語由来の外来語ですが、「ラテン語 → フランス語 → 英語 → 日本語」という経路により、日本語の外来語になった時点で、意味が限定されました。
ラテン語の影響が色濃く残るフランス語の学習には、語源という切り口をたどることで理解が進んだり、覚えやすくなる場合があります。
「レシピ」と「recette」
2025年10月8日の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語㉙レシピという配信でお伝えした通り、日本語の「レシピ」は「料理やお菓子などの作り方」という意味に限定されています。
元をたどるとフランス語の「recette」に行きつきます。
現在使われている「recette」の使い方をまとめると、
- recette①「料理やお菓子などの作り方」
- recette②「秘訣・方法」
- recette③「収入・売り上げ」
ということになります。
「レシート」と「recevoir」「reçu」
2025年10月8日の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語㉚レシートという配信でお伝えした通り、日本語の「レシート」は「(仮)領収書としてレジで渡される小さな紙」という意味に限定されています。
元をたどるとフランス語の「recevoir」や、その過去分詞で名詞化された「reçu」に行きつきます。
現在使われている「recevoir」と「reçu」の使い方をまとめると、
- recevoir①「(モノを)受け取る」
- recevoir②「(情報・知らせを)受ける」
- recevoir③「迎える・(人を)受け入れる」
- recevoir④「(打撃・賞賛・罰などを)受ける」
- recevoir⑤「(待遇を)受ける」
- reçu「領収証・受領証」
ということになります。
語源は「受け取る」
つまり「レシピ」をフランス語にするなら「recette」、「レシート」に対応するフランス語は「reçu」なのですが、語源から現在の形までの変遷を知ると、その他たくさんの意味が覚えやすくなります。
「recette」「recevoir / reçu」の語源は、「受け取る」という意味のラテン語でした。
この「受け取る」という動詞を出発点に意味が広がっていきます。
この語源の直接的な後継で、意味が最も強く残ったのが、フランス語の動詞「recevoir」です。
現在の意味は前述のとおりですが、元の「受け取る」から広がって、「モノ・情報・人・打撃・賞・待遇」にまで幅広く使える言葉です。
そして「recevoir」の過去分詞である「reçu」が、名詞として「領収証・受領証」の意味で使われるようになりました。
受動態が発展
一方で、ラテン語の動詞「受け取る」の受動態が発展したのが「recette」です。
受動態「受け取られる」が名詞化して「受け取られたもの」になり、そこから意味が広がりました。
つまり「受け取ったもの」「受け取り」といったものから、収入・領収・処方・方法などへの意味へと広がったのです。
料理やお菓子などの「レシピ」の意味も、「材料を受け取る」という流れの中で生まれています。
関連で覚えよう!
単語ごとに現在使われている意味の羅列を眺めていると、あまりにもいろいろな意味があって覚えにくいことも多いのですが、語源からの広がりを知ることで、今回の「レシピ / recette」と「レシート / recevoir / reçu」のように、想像もつかなかった関連単語が見えてくることがあります。
もちろん、まるで突拍子もない発展を遂げた例もあるものですが、その驚きさえも記憶の助けになることも。
日本語ネイティブの立場からすると、「おもしろい考え方だな~!」と思うこともしばしばです!
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