416 あえて逆転プラス強調語! Depuis cinquante-quatre ans que j’habite cette planète-ci, je n’ai été dérangé que trois fois.

その他(王子さま)

ビジネスマンの訴え

今回のフレーズには、このセリフを言ったビジネスマンの強い思いが込められています。

本来の自然な言い方ではなく表現を入れ替え、その上に強調語までつけられています。

彼の思いを汲み取ってあげましょう!

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Depuis cinquante-quatre ans que j’habite cette planète-ci, je n’ai été dérangé que trois fois.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第13章の挿絵から7行目にあるビジネスマンのセリフです。 

「depuis cinquante-quatre ans que j’habite cette planète-ci」

「dupuis」は「~以来」「~前から」という意味です。

「cinquante-quatre」は数字の「54」、「ans」は「年」という意味の「an」の複数形です。

 ここでの「que」は関係代名詞、「j’habite」は「わたし」を意味する「je」の省略形「j’」と「(人が)~に住む」という意味の「habiter」の活用形(現在形)の「habite」が合わさったものです。

「cette」は「ce」の女性形単数で意味は「これ(それ・あれ)」ですが、あまり距離による区別はしません。 

「-ci(= ici「ここ」)」をつけることで、「こちらの~」「今いる~」という意味が強調されます。 

「planète」は女性名詞で「惑星」という意味です。

「je n’ai été dérangé que trois fois」

「je」は「わたし」、「n’ai」は否定語の「ne」の省略形「n’」と「avoir」の活用形(現在形)の「ai」が合わさったものです。

「été」は「être」の過去分詞、「dérangé」は「déranger」の過去分詞です。

「déranger」は「(人の)邪魔をする」「(モノや部屋などを)散らかす」という意味です。 

「ai été」の部分が「avoir +(動詞の過去分詞)」になっているので過去表現、さらに「été dérangé」の部分が「être +(動詞の過去分詞)」になっていて受け身になっています。

「ne(n’) ~ que」は制限を表す否定語で「~しか~ない」。

「trois」は数字の「3」、「fois」はは女性名詞で、回数を表します。

背景を見てみると 

王子さまが4番目に訪問したのは、1人で計算ばかりを繰り返すビジネスマンが暮らす小さな星でした。

計算に夢中なあまり、くわえたタバコに火がついていないことにすら、気がついていません。

王子さまはビジネスマンがつぶやく数字について質問したのですが、そのせいでビジネスマンは気が散り、早く王子さまから解放されたがっているようです。

そんな様子はお構いなしの王子さまは再度同じ質問を繰り返したので、それまで王子さまを見ようともしなかったビジネスマンは、視線を合わせて訴え始めました。

本来の自然な言い方

さて、今回の配信タイトルにある「逆転」している部分とは、このフレーズの前半部分です。

「Depuis cinquante-quatre ans que j’habite cette planète-ci」は1つのフレーズとしても完結しますが、本来なら、

  • J’habite cette planète-ci depuis cinquante-quatre ans.
    (この惑星に54年住んでいる)

という言い方になります。

それが今回のフレーズのように逆転すると、

  • Depuis cinquante-quatre ans que j’habite cette planète-ci,
    (この惑星に住んで54年になるが、)

になるのです。

ここでの「que」は前述通り関係代名詞で、これを使うことで「depuis cinquante-quatre ans(54年前から)」を強調しています。

強調語の効果

そしてその上、「cette planète-ci」と「-ci(= ici「ここ」)」をつけることで、「こちらの~」「今いる~」という意味を強調しています。

和訳すると消えてしまいがちですが、ビジネスマンの気持ちになってみると、「今いるここ、この惑星に住んで54年にもなるが…」と言いたいわけです。

これがただ単に「cette planète」だけなら、単なる「この惑星」になり、感情の起伏はありません。

そしてこのフレーズの後半部分「je n’ai été dérangé que trois fois(邪魔されたのは3回だけだ)」に続くのです。

ビジネスマンにとって王子さまは、よほどうっとおしい存在だったようですね!

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

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