意外と大事な四則演算
今回のフレーズは一般的によく使われる、簡潔バージョンの足し算です。
フランス語の四則演算(足し算・引き算・掛け算・割り算)は、実はネイティブでも突っ込みたくなる変化があるのですが、できるだけわかりやすくまとめます。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Deux et cinq sept….」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第13章の挿絵から4行目にあるビジネスマンのセリフです。
「deux et cinq sept」
「deux」は数字の「2」、ここでの「et」は足し算の「プラス」の代わりに使われている「~と~」です。
「cinq」は数字の「5」、「sept」は数字の「7」です。
足し算については、このシリーズの第406回でもご紹介しています。
背景を見てみると
王子さまが4番目に訪問したのは、1人で計算ばかりを繰り返すビジネスマンが暮らす小さな星でした。
計算に夢中なあまり、くわえたタバコに火がついていないことにすら、気がついていない様子です。
王子さまはビジネスマンがつぶやく数字について質問したのですが、そのせいでビジネスマンは気が散ってしまったようです。
自分は忙しいと訴えたビジネスマンは、早く王子さまから解放されたがっているようです。
今回のフレーズでは、まるで王子さまを追い出すかのように、自分の仕事を強引に始めようとしています。
話し言葉と書き言葉
まず、足し算・引き算・掛け算・割り算それぞれの例文を見てください。
各演算の1は話し言葉の簡易バージョン、2は書き言葉で使われ、これを話し言葉で使うとやや丁寧に感じます。
足し算(l’addition)
- Deux et cinq sept.
→ 2 + 5 = 7 - Trois et quatre font sept.
→ 3 + 4 = 7
引き算(la soustraction)
- Dix moins trois sept.
→ 10 − 3 = 7 - Neuf moins deux font sept.
→ 9 − 2 = 7
掛け算(la multiplication)
- Deux fois trois six.
→ 2 × 3 = 6 - Quatre multiplié par deux fait huit.
→ 4 × 2 = 8
割り算(la division)
- Huit divisé par deux quatre.
→ 8 ÷ 2 = 4 - Dix divisé par cinq fait deux.
→ 10 ÷ 5 = 2
覚え方のポイント
話し言葉では、足し算に「et」、引き算に「moins」、掛け算に「fois」、割り算に「divisé par」を使って、答えを最後に置きます。
書き言葉や丁寧な言い方では、「~になる」という意味で動詞「faire」を使います。
ただし、足し算・引き算では複数形の活用形(現在形)「font」を使い、掛け算・割り算では単数形の活用形(現在形)「fait」を使います。
掛け算のみ、話し言葉は「fois」、書き言葉や丁寧な言い方では「multiplié par」になるという違いがあります。
どこまでも論理的!
なお、冒頭で触れた「ネイティブでも突っ込みたくなる変化」とは、動詞「faire」の変化です。
前述通り、足し算・引き算では複数形の「font」、掛け算・割り算では単数形の「fait」を使うのですが、その論理が不思議なのです。
足し算・引き算では「主語が複数(〇〇 et △△など)だから」という理由で動詞が複数、掛け算・割り算は「フレーズ全体が1つの行為とみなされる」という理由で動詞が単数ということらしいです。
でも、「0 + 1 = 1」なども複数なのか?…のような意見も!
もっとも、「論理的でないものはフランス語ではない」と言われる言葉なので、しかるべきところに問い合わせれば、何が何でも「論理的」な答えが返ってきそうではあります。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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