【フランス語のフレーズ】日常会話で使う略語㉜gynéco

フレーズ

若者言葉から昇格した略語 

フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。 

元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。 

かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。 

今回はその第32回目「gynéco」です。 

「gynéco」とは? 

「gynéco」とは、「gynécologue(婦人科医)」または「gynécologie(婦人科)」のことです。

「gynécologue」の場合は「婦人科の医師」、「gynécologie」なら「診療科としての婦人科」という意味なのですが、「gynéco」はどちらの意味にもなります。

使われているのが医師としての「gynéco」なのか、診療科としての「gynéco」なのかは、文脈で判断することになります。

つまり2025年4月7日配信の【フランス語のフレーズ】日常会話で使う略語㉘で扱った「dermato」などと同様です。

ちなみに、日本では「産婦人科」という表記をよく見かけますが、フランスでは「gynécologie(婦人科)」の方が一般的です。

実は「産科」もあるのですが、「gynéco」とばかり呼ばれます。

でも実際には日本の産婦人科医同様、両方の資格を持っている医師も多くいます。

使用例 

「gynéco」を使ったフレーズには、次のようなものがあります。 

  • Je consulte ma gynéco.
    (婦人科医に診てもらう)
  • Je travaille en gynéco.
    (婦人科で働いている)

最初のフレーズで診てもらう「ma gynéco」は「(わたしの)婦人科の医師」、次のフレーズの「en gynéco」は「(職場である)診療科としての婦人科」のことを指しています。

「consulter」の違和感

ところで、最初のフレーズにある「consulte」は「(人に)相談する」「(本・地図などを)調べる」「(医者に)診てもらう」などの意味の「consulter」の活用形(現在形)です。

前述のフレーズ「Je consulte ma gynéco.(婦人科医に診てもらう)」では、婦人科医つまり医者に診てもらうというという意味で使われています。

こうして見る限りでは何の問題もないのですが、実はフランス語を始めたばかりの頃、わたしは「Je consulte ma gynéco.(婦人科医に診てもらう)」という言い方に、とても違和感がありました。

日本人ならではの錯覚

それは動詞の「consulter」が、日本語の「コンサル」と重なって見えたからでした。

日本語の「コンサル」には「医者の診察」という意味はありませんが、「助言」や「サポート」、またはそれらをしてくれる人という意味がありますよね?

そして「コンサルを受ける」と言えば、「専門家の助言やサポートを受ける」という意味になります。

でもフランスに来て間もない頃、

  • Je consulte mon avocat.
    (弁護士に相談する)

というフレーズを聞いたのです。

日本語ネイティブのわたしにとっては、コンサルは受けるものなので、主語と目的語が入れ替わってしまっているような錯覚がありました。

このフレーズは受動態ではないのに、なぜ「je(わたし)」が主語になるのかが不思議だったのです。

主語と目的語が逆?

それでも「こういう風に言うものなんだ!」と、無理やり自分を納得させる以外にはありませんでした。

  • Je consulte mon médecin.
    (医者に診てもらう)
  • Je consulte ma gynéco.
    (婦人科医に診てもらう)

といった言い方を、何度も耳にするようになったからです。

でも、日本語の「コンサル」からは離れられず、主語の入れ替わってしまった感覚は、続いていました。

英語と一緒!

ようやく腑に落ちたのは、語源や由来を調べたからでした。

「コンサル」の元の単語である「コンサルタント」や「コンサルティング」は英語由来の外来語です。

フランス語にも「consultant」という言葉があり、調べてみると、英語とはスペルも意味も同じでした。

「consulter」は動詞であり、英語だとスペルは変わりますが、それでもフランス語と英語の使い方は一緒です。

それがよくわかるのが、英語でも同様の言い方をする、次のフレーズです。

  • J’ai consulté un consultant.

(コンサルタントに相談した)

これは、日本語だと「コンサルを受けた」で通じる内容ですね。

日本語の「コンサル」という略語は、「コンサルティング・サービス」というサービス名のようになってしまっています。

つまり「コンサルを受けた」という言い方は、元の英語にはない、受け身として使われるようになったせいだからだと思ったのです。

英語との違い

英語では「医者に診てもらう」という意味で使われることは少ないようですが、フランス語の「consulter」は「(人に)相談する」だけでなく、「(医者に)診てもらう」でもよく使われます。

なので最初のフレーズ「Je consulte ma gynéco.(婦人科医に診てもらう)」という言い方は、やはりごく自然であり、本来の言い方であることがわかります。

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