371 マークに捉われすぎないで! Comment peut-il me reconnaître puisqu’il ne m’a encore jamais vu !

その他(王子さま)

「!」と「?」 

今回のフレーズにはビックリマークの「!」が使われています。 

フランス語で「!」の正式名称は「point d’exclamation」、「?」は「point d’interrogation」と言います。 

感動した時などに「!」が、疑問文に「?」が使われるのが一般的ですが、必ずしもそうではないのです。 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Comment peut-il me reconnaître puisqu’il ne m’a encore jamais vu !」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第10章の始めにあります。 

第10章の挿絵から3行目にあり、王子さまが自らに問いかけているフレーズです。 

「comment peut-il me reconnaître」

「comment」は「どのように」「どうやって」など、または驚きを表す「何だって?」の意味です。 

「peut-il」は「il peut」が倒置されて「-(ハイフン)」でつながれたものです。 

「il」は「彼」「それ」、「peut」は「pouvoir」の活用形(現在形)です。 

「pouvoir +(動詞の原形)」で、「~することができる」「~してもいい」という意味になります。 

「me」は1人称代名詞単数目的格「わたしを」「わたしに」、動詞の原形部分には「それと認める」「それとわかる」「承認する」などの意味の「reconnaître」が使われています。 

「puisqu’il ne m’a encore jamais vu」 

「puisqu’il」は「puisque」と「il(彼/それ)」が合わさったものです。 

「puisque」は「なのだから」「~である以上」、「ne ~ jamais」は「決して~ない」、「m’a」は「me(わたしを/わたしに)」と「avoir」の活用形(現在形)「a」が合わさったものです。 

「encore」は、「まだ」「相変わらず」「また」「もっと」などを意味します。 

「vu」は「~を見る」「~が見える」などの意味の「voir」の過去分詞なので、「a(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

背景を見てみると 

旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。 

王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。 

今回のフレーズは、王様の様子を見た王子さまが自問自答している部分です。 

2種類の「comment」

先ほど、「comment」には「どのように」「どうやって」など、または「何だって?」の意味であるとお伝えしました。 

というのも「comment」には、大きく分けて2種類の使い方があるからです。 

それは「?」を伴なう使い方と、「!」を伴なう使い方です。 

「?」を伴なうのは疑問詞である場合で、「どのように」「どうやって」などの意味になります。 

「!」を伴なうと、驚きや強い応答などに使われます。 

驚きを表す「何だって?」の意味になります。 

今回のフレーズには「!」が使われているので、一見すると「何だって?」と驚いているように思われます。 

前半部分の意味

では、他の部分の意味を考えてみます。 

「comment」の後の「peut-il me reconnaître」は、「彼がわたしをそれと認めることができる」という意味です。 

ここでの「わたし」は王子さま、「彼」は王様です。 

背景から、王様は「家来がやって来た」と大喜びしているので、「それと認められる」の「それ」とは、家来です。 

つまり「王様が王子さまを家来として認められる」という意味になります。 

後半部分の意味

そして残りの「puisqu’il ne m’a encore jamais vu」の部分は、過去表現になっています。 

「彼はわたしをまだ決して見たことがなかったのだから」という意味です。 

王子さまと王様は初めて会ったのですから、当然ですね。 

ここで使われている「puisque」は、話し手・聞き手の両方が、すでに知っている情報をもとに理由を言う時に使います。 

今回のフレーズは王子さまの自問自答なので、話し手・聞き手ともに王子さまです。 

「すでに知っている情報」なので、「puisque」を使っています。 

ちなみに「encore」は、日本語の外来語である「アンコール」の元の言葉です。 

外来語の「アンコール」は「もっと」の意味で使われますが、前述通り「encore」には、「まだ」「相変わらず」「また」「もっと」などたくさんの意味があります。 

ここでは「まだ」の意味で使われています。

ここでの「comment」

こうして見てみると、このフレーズの「comment」を「何だって?」と捉えるのはムリがあります。 

確かに文末には「!」がついているのですが、実はこの「!」は、フレーズ後半の「puisqu’il ne m’a encore jamais vu」の部分につけられたものだと考えられます。 

ここでの「comment」は「どのように」と捉える方が、自然なのです。 

王子さまが言いたいのは、「王様はわたしをまだ決して見たことがなかったのに(わたしに初めて会ったのに)、どのようにわたしをそれ(家来)として認められるんだろう」ということです。 

これは、2つのフレーズに分けて考えると、スムーズです。 

「Comment peut-il me reconnaître ?」と 

「Puisqu’il ne m’a encore jamais vu !」ということです。 

単純にマークだけを見て、判断はできないということですね! 

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

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