若者言葉から昇格した略語
フランス語で話していると、仏和辞書などには載っていないような言葉も耳にします。
元は若い人たちが仲間内で使っていた略語などがほとんどですが、時間とともに社会的にも認知されて、多くの人が使うようになった言葉です。
かしこまった場では使わなくても、仲の良い同僚となら使う程度の略語や派生語などを中心にご紹介します。
今回はその第7回目「ado」です。
「ado」とは?
「ado」は「adolescent」の略で、「ティーンエイジャー」のことです。
まだ大人ではないけれど、あまり子ども扱いすると嫌がられる、思春期であり反抗期でもある、中高生ぐらいに当たります。
「les enfants(子どもたち)」と言われて素直なのは10歳ぐらい、つまり小学生までです。
それ以上も実際は子どもなのですが、「les adolescents」として扱えば、反発されなくて済む、便利な言葉です。
「adolescent」という単語は、「un adolescent(男性ティーンエイジャー)」「une adolescente(女性ティーンエイジャー)」のように使われます。
男性名詞にも女性名詞にもなりますが、女性形なら語尾に「e」をつけて「adolescente」にします。
略語の「ado」の場合にはこのルールは適用されず、同じ形のまま冠詞だけが変わります。
「un ado(男性ティーンエイジャー)」「une ado(女性ティーンエイジャー)」になるのです。
「ado」の使用例
「ado」の使い方としては、
「Ils mangent très bien mes ados !(うちのティーンエイジャーたちはとてもよく食べるの!)」
などがあります。
ここでは「mes(私の)」をつけているので、この部分だけを見るとティーンエイジャーたちの性別はわかりません。
ただし文頭に「ils(彼ら)」があるので、複数いるティーンエイジャーたちのうち、少なくとも一人は男性です。
もしも女性だけなら、文頭の代名詞は「elles」になります。
そして複数形の場合、元の単語「adolescent」は男性複数で「adolescents」、女性複数で「adolescentes」ですが、略語の「ado」は単に「s」をつけて「ados」になり、発音は変わりません。
少し特殊な「ado」?
なお、「ado」という言葉は、他の略語とは少々違う成り立ちをしたのではないかと、個人的には考えています。
大抵の略語は、元をたどると若い人たちが仲間内で使っていた言葉なのですが、こうした若い人たちこそが「ado」と呼ばれる当事者です。
あくまでも私の想像でしかありませんが、この「ado」に関しては、おそらく親世代の大人たちが生み出した言葉なのではないかと思います。
実際の使用に関しても、大人が自分や近所のティーンエイジャーたちについて話す際に使うことが多いのです。
「ado」はクリエイター!
というのも、この「ado」という略語は、これまでご紹介してきた「apéro」や「resto」に比べると、若者らしいひとひねりは効いていません。
フランス語の略語は語末を「o」で終わる形にすることが多いので、「apéro」は元の単語「apéritif」の前半部分「apéri」を「apéro」に、「resto」は「restaurant」の前半部分「restau」を「resto」にしています。
それらに引きかえ、「ado」は「adolescent」を短くしただけの簡易バージョンのようです。
もっとも、私自身も含めたセンスのない大人が、少し頑張ってみても「ado」ぐらいが関の山といったところでしょうか。
新しいモノや言葉を生み出すエネルギーいっぱいの「les ados(ティーンエイジャーたち)」には、今後も敬意を持って接しようと思います!
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