「コーンポタージュ」は存在しない
突然ですが、フランス料理に「コーンポタージュ」は存在しないことをご存じですか?
私はそれを知らずにフランスにやって来て、2回ほど失敗した経験があります。
料理自体はおいしくできたのに、結果的にはコーンポタージュを封印することになった経験を共有しますね!
定番中の定番!
今でこそ、フランスで修業した方が日本でレストランを開業されることが珍しくなくなり、いわゆる本場の味が受け入れられていますが、1990年代の時点では、メニューにコーンポタージュがないフランス料理のお店は皆無に近かったと思います。
そうした時代に留学経験もないままにフランスで結婚したので、フランス料理にコーンポタージュがないことなど、まったく知りませんでした。
1回目の失敗
前回の記事の通り、和食・中華が大好き、好き嫌いもなしという主人なので、自分が食べたいものを作れる環境ではありますが、意外にも洋食メニューで失敗しています。
その中で最大の失敗とも言えるのが、日本ではみんなが大好きなコーンポタージュでした。
もちろん私自身も大好物なので、まだ子どもが産まれる前に無性に作りたくなりました。
フランスに来て数ヶ月が経っていたので、この時点ではレストランに行ってもコーンポタージュがないのを知っていたからです。
主人が喜んでくれるかは不安だったのですが、それでも決行しました。
日本のように「クリームスタイルのコーン」などは売っていないのでミキサーにかけ、インスタントのコンソメは嫌いなので、鶏ガラでスープストックを作って…と、日本で作るよりも手間暇をかけた結果、納得の出来栄えでした。
ただし主人は、ダメでした。
失敗の理由
というのも、そもそもコーンがダメなのです。
とは言っても、トウモロコシの味自体が嫌いなのではなく、トウモロコシを食べ物として認識したくない、と言うのです。
「Les maïs, c’est pour les poules, c’est pas pour les être-humains.(トウモロコシなんてメンドリ用だ、人間のモノじゃない)」というのが、当時の彼の口ぐせでした。
初めは本当に驚きましたが、その後何人ものフランス人が同じことを言うので、その当時はこの感覚が普通だったと思います。
現在はおそらくアメリカ文化の影響で、コーン入りのサラダをあちこちで見かけますし、家で作ると主人も食べるようになりました。
それでも、コーンポタージュは、いまだにダメです。
2回目の挑戦
このように第1子の妊娠中に挑戦して以降、何年も封印していたコーンポタージュなのですが、子どもたちが小学生になった頃、再挑戦することにしました。
子どもたちは、学校の給食以外はほぼ私の料理を食べているので、すでにこの頃には味覚が日本人に近くなっていました。
そのため、主人からは微妙な反応が返ってきてしまったスパゲッティ・ナポリタンや、カニクリームコロッケなども、子どもたちは大喜びで食べていました。
そして何より、日本人が大好きなコーンポタージュを、子どもたちにも知ってもらいたいと思ったのです。
わかり合えない味覚
ところが、結果はまさかの大惨敗でした。
サラダの中のコーンは喜んで食べる子どもたちなのに、コーンポタージュは2人とも「ママ、これはヘン。ゴメン、無理…」と言って、残してしまったのです。
普段は何を作っても完食してくれるので、本当に驚きました。
4人分のコーンポタージュは、私が3日ほどかけていただきましたが、アレの何がダメだったのかは、いまだに私にはわかりません。
よほど嫌いな食材以外は、和食・中華何でもOK、なんちゃってイタリアンのスパゲッティ・ナポリタンでさえ、大喜びで食べてくれる2人です。
コーンポタージュに関してだけは、どうしてもわかり合えない味覚のようです。
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