【フランス語のフレーズ】 まだある特別な地方 Les gens du Nord

calais フレーズ

あまりにも異なる「北」

昨日(2024年7月22日)公開した南仏の記事で、「南」を意味する「midi」という名詞の表記を変えることによって、いわゆる「南仏」とは違う意味合いを持つことをご紹介しました。 

実は、これと同様のことが「北」を意味する「nord」という単語でも起こります。 

「南」に引き続き、同じフランスなのに、あまりにも異なる「北」の様子もご紹介します。 

地方名としての表記

「南」を意味する「midi」が「le Midi」になると南フランスの特定の地域を表すのと同様に、「北」を意味する「nord」が「le Nord」になると北フランスの特定の地域を意味します。 

「le sud de la France(南フランス)」よりも「le Midi」の範囲が狭まるように、「le nord de la France(北フランス)」よりも「le Nord」は狭くなるのです。 

具体的には?

ただし「le Midi」の範囲が必ずしも特定できないのに対して、「le Nord」の方は県名で特定できます。 

具体的には、Nord県とPas-de-Calais県が「le Nord」と呼ばれます。 

この2つの県を合わせて、2015年までは「Nord-Pas-de-Calais」という名前で呼ばれていました。 

ベルギーとの国境の近くなので、文字通り「北フランス」にふさわしい地域なのですが、一般的に「le nord de la France(北フランス)」と言うと、そのもう少し南側の地域も含まれます。 

独特のイメージ

「le Nord」と呼ぶ場合には、この南側の地域(パリを中心とした首都圏の北側)は含まれないのですが、それでもあまり排他的な雰囲気はありません。 

南側地域の人たちは、自分たちのことを「le Nord のいとこ」だと言い、「le Nord」の人たちも、それを悪くは思っていないように感じます。 

というのも「le Nord」というところは、かつての炭鉱地帯だったので、つらくても簡単には弱音を吐かないような、頑張り屋さんが多く、いわゆる「いい人」の割合が高いのです。 

意外におちゃめ

私自身は南フランスに住んでいますが、北フランスにも縁があり、行き来や連絡を取り合っています。 

北フランスと言うと、寒くて暗く、雨ばかり降るというイメージがあり、それは事実でもあるのですが、そこに住んでいる人たちは、意外とおちゃめな人が多いのです。 

それは私ひとりの印象ではなく、フランスの古い歌「Les gens du Nord」にも歌われています。 

「Les gens du Nord」を和訳すると「北の人たち」ということになりますが、ここでの「北」とは、かつての炭鉱地帯である「le Nord」のことです。 

歌詞に納得

その冒頭は「北の人たちは 風景にはない青い色を目の中に持っている」「北の人たちは 外にはない太陽を心の中に持っている」という意味の歌詞から始まります。 

何かにつけてはくだらない冗談を言い合って笑い転げているかと思えば、困難な状況に置かれた人を放ってはおけない彼らを見ていると、この歌詞には本当に納得させられます。 

寒くて雨の多い気候だからこそ、お互いに助け合うことが当たり前の人たちです。 

先日も、ある人が大変な状況になってしまったのですが、本当にあっという間にカンパのお金が集まったという話しを聞いたばかり。 

地理的な距離は遠くても、心理的な距離は縮まるばかりです。 

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