そっくりな表現
今回のフレーズには「~しなければならない」という表現が含まれます。
このシリーズの第229回で扱った「il faut ~(~しなければならない)」との違いや使い分けについて、例文とともにご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Les enfants doivent être très indulgents envers les grandes personnes.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の中ほどにあります。
第4章の3枚目の挿絵から2番目にある段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「les enfants doivent être très indulgents」
「les」は定冠詞複数形、「enfants」は「子ども」を意味する男性名詞「enfant」の複数形です。
「doivent」は動詞「devoir」の活用形(現在形)です。
「devoir +(動詞の原形)」の形で「~しなければならない」「~すべきである」などになります。
動詞の原形は「être」が使われています。
「très」は「とても」を意味します。
「indulgents」は「寛大な」という意味の形容詞「indulgent」の複数形です。
「être indulgent」で「寛大でいる」「寛大になる」という意味になります。
ここでは「les enfants(子どもたち)」に対応して複数形になっています。
「envers les grandes personnes」
「envers」は「~に対して」という意味の前置詞です。
「les」は定冠詞複数形、「grandes personnes」は「大人」という意味の「grande personne」の複数形です。
背景を見てみると
語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。
大人たちは物事の本質を見ようとせず、数字にしか興味がありません。
なので、どのように言えば大人たちが納得してくれるかという具体的な例を示しつつ、「大人というものはこういうものなのだから」「腹を立てたりしてはいけない」と言い、今回のフレーズに続きます。
2種類の「~しなければならない」
さて冒頭で触れた通り、このシリーズの第229回で扱った「il faut ~(~しなければならない)」と、今回のフレーズにある「devoir ~(~しなければならない)」は、とてもよく似た表現です。
和訳すると全く同じになってしまうことが多いこの2つの表現には、わずかなニュアンスの違いがある場合もあります。
違いは?
「il faut +(動詞の原形)」だと、一般的なルールや常識に反することを避けるべきであるという趣旨で使われることが多いです。
そして「devoir +(動詞の原形)」だと、個人的な責任や義務を強調して、特定の行動や選択を避けるべきであるという趣旨になることが多いです。
2種類の使い分け例
例えば、水道の蛇口を全開にして水を出しっぱなしにしている人がいるとします。
「Il faut économiser l’eau.(節水しなければならない)」と一般論を言います。
その後「Tu dois faire attention.(君は気をつけなければならない)」で、相手の個人的な義務を強調しているのです。
別の用途も!
ただし、この2種類は本当によく似ていますし、あまり使い分けをされなかったり、同じ表現の繰り返しを避けるために両方を使うこともよくあります。
第229回のフレーズ「Il faut leur dire :(彼らに言わなければならない)」と、今回のフレーズの一部「Les enfants doivent être très indulgents(子どもたちはとても寛大にならなければならない)」も、同じ表現の繰り返しを避けるために両方が登場しているように思います。
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