230 フランス語の数字の闇の入口へようこそ! J’ai vu une maison de cent mille francs.

その他(王子さま)

奥深い?数字の世界

脅かすつもりはありませんが、フランス語の数字には奥深い世界(闇)があります。 

もっとも、ネイティブのフランス人でも知らない(忘れた?)部分があるので、間違えても恥ずかしいレベルでは全くありません。 

今回ご紹介するのはそのうちのごく一部ですが、さらに複雑になっても間違えずにすむ方法も一緒にお伝えしますね! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「J’ai vu une maison de cent mille francs.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の中ほどにあります。 

第4章の3枚目の挿絵のすぐ後の段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

「j’ai vu une maison」

「j’ai」は「わたし」という意味の「je」の省略形「j’」と、「avoir」の活用形(現在形)「ai」が合わさったものです。 

「vu」は「~を見る」「~が見える」などの意味の「voir」の過去分詞なので、「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

「une」は定冠詞単数女性形、「maison」は女性名詞で「家」という意味です。 

「de cent mille francs」

「de」は前置詞で「~の~」ですが、語順は日本語と逆になります。 

「cent」は数字の「百(100)」、「mille」も数字の「千(1000)」です。 

「cent mille」でゼロが5つになり、数字の「100,000」つまり「10万」です。 

「francs」は、フランスの古い通貨単位「franc」の複数形です。 

背景を見てみると 

語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。 

大人たちは物事の本質を見ようとしないので、例えば新しい友だちについて話すなら、その人の年齢や体重、果ては父親の収入など、数字にしか興味がありません。 

これは人に関することだけでなく、モノについても同じことです。 

今回のフレーズでは、大人たちに言うべきフレーズの具体例が示されます。 

特別な決まり 

今回のフレーズにある「cent(百)」「mille(千)」は、単数形・複数形の扱いが他と異なります。 

通常なら、単数には単数形、複数には複数形になるはずですが、この2つは例外なのです。 

しかも「cent(百)」「mille(千)」では、例外になる決まりも違います。 

「千」は変化なし 

「1,000」を意味する「mille」は、複数形になることがありません。 

「mille(千)」「deux mille(二千)」のように、単数・複数に関係なく、常に「s」のない「mille」が使われます。 

「百」は複雑 

「100」を意味する「cent」は、複数形を使う場合の規則がけっこう複雑です。 

まず、「cent(百)」「deux cents(二百)」なら、通常通り同様、単数には単数形を、複数には複数形を使います。 

ただし、複数形になるべきである「二百」の後に、他の数字が続く場合には、なぜか単数形になってしまうのです。 

複数なのに単数形を使う「百」 

複数形になるべきである「二百」などの後に、他の数字が続いて、「百」が単数になる場合の例をご紹介します。 

  • 203: deux cent trois 
  • 512: cinq cent douze 
  • 940: neuf cent quarante 

解決法は? 

「百」の複雑さは、実はまだこれで終わりではありませんが、今回はこのぐらいにしておきます。 

さらに「cent(百)」「mille(千)」以外にも例外が存在しているので、闇、もとい奥深いのです。 

あまりにも面倒なので、ネイティブでも間違えたり、不安に思ったりするレベルです。 

そのため、数字を入力すればアルファベットで返してくれる、便利なサイトが存在します。 

検索エンジンに「chiffre en lettre」と入れれば、こうしたタイプのサイトが複数ヒットします。 

例外中の例外! 

そして最後にとっておきの例外を1つ、ご紹介します。 

前述通り、「mille(千)」には複数形がありません。 

ただし「mille(千)」には同音異義語が存在しているのです。 

それは、距離を表す単位である「マイル」です。 

フランス語だと「千」「マイル」ともに「mille」と書き、発音も同じなのですが、「千」の意味で使う時には複数形がなく、「マイル」の意味で使う時には複数形があるのです。 

つまり「s」なしの「dix mille」は「1万」、「s」つきの「dix milles」は「10マイル」ということです。 

混乱しないの? 

発音は全く同じ、スペルも「s」の有無だけという2つなので、混乱が心配になりますよね? 

でも、フランスで使われている距離を表す単位は日本と同じ「km(キロメートル)」です。 

そのため、移動の際などに「mille(マイル)」を使うことはありません。 

「mille(マイル)」が使われるのは、航空会社などのマイレージサービスぐらいなので、混乱が起こることはありませんよ! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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