一定の条件
「アラカルト」「アラモード」などは、フランス語由来の外来語として定着していますね。
「アラ~」という言い方は、フランス語らしい響きで好まれているのでしょうか?
ただしこの「アラ~」、どんな言葉にでもつくわけではありません。
一定の条件があるので、それをご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Si vous dites aux grandes personnes :」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第4章の中ほどにあります。
第4章の3枚目の挿絵のすぐ後の段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。
「si vous dites aux grandes personnes」
「si」は「もしも」、「vous」は「あなた」または「あなたたち」、「dites」は「言う」という意味の「dire」の活用形(現在形)です。
「aux」は、前置詞の「à」と定冠詞複数形の「les」が合わさったものです。
「grandes personnes」は「大人」という意味の「grande personne」の複数形です。
背景を見てみると
語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。
大人たちは物事の本質を見ようとしないので、例えば新しい友だちについて話すなら、その人の年齢や体重、果ては父親の収入など、数字にしか興味がありません。
これは人に関することだけでなく、モノについても同じことです。
今回のフレーズの後には、大人たちに言ってもわからない、ステキな家の様子が語られます。
対象は複数
ところで、今回のフレーズがある第4章には、語り手の男性の説明が長く続いています。
その大部分は「les grandes personnes(大人たち)」に対する批判が占めています。
複数形なので、ある特定の人物1人ではなく、一般的な大人全員が対象です。
今回のフレーズは、「もしも大人たちにこう言うなら:」という意味です。
対象を示す「大人たちに」の「に」に当たる前置詞は「à」ですが、先ほどもご紹介した通り、定冠詞複数形の「les」と合わさって「aux」になっています。
1人だけなら?
でも今回のフレーズで、批判の対象が特定の人物1人だけだったら、どうなるでしょうか?
1人なら「la grande personne(大人)」になるので、「Si vous dites à la grande personne :」になります。
この形こそ、冒頭で触れた「アラカルト」や「アラモード」などの「アラ~」の言い方です。
念のために確認しておくと、「à」は前置詞、「la」は定冠詞単数女性形です。
男性名詞なら?
では、同じ内容で男性名詞なら、どうなるでしょうか?
同じく「大人」という意味でしばしば使われるのが、名詞としての「grand」です。
これを使って、今回のフレーズの男性名詞バージョンの単数と複数もご紹介します。
単数は「Si vous dites au grand :」、複数は「Si vous dites aux grands :」になります。
前置詞の「à」プラス定冠詞のまとめ!
以上を整理すると:
- 単数男性形:「à」+「le」=「au」
- 単数女性形:「à」+「la」=「à la」(変化なし)
- 複数形男女:「à」+「les」=「aux」
つまり「à la(アラ)」になるのは、次に単数の女性名詞が来る場合だけということです。
「アラカルト」「アラモード」の「carte」「mode」は、両方とも女性名詞です。
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