夜更けの砂漠にて
誰もいない夜更けの砂漠で、ヘビと話している王子さま。
現実ではありえない場面ですが、この印象的なイメージを借りて覚えられることは、いくつもあります。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Elle est juste au-dessus de nous…」「Mais comme elle est loin !」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第17章の始めの方にあります。
1枚目の挿絵から4行目の中にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「elle est」
「elle」は3人称代名詞単数女性で、人なら「彼女」ですが、モノを指すこともあります。
モノを指すなら、女性名詞のモノになります。
「est」は、être動詞の活用形です。
「juste au-dessus de」
「juste」は副詞で、「正確に」「正しく」「ちょうど」などの意味があります。
「au-dessus de ~」は、「~の上に」という意味です。
「juste au-dessus de ~」は決まり文句で、「~の真上に」という意味です。
ふだんの会話などでも、とてもよく使われる表現です。
「nous」
「nous」は1人称代名詞複数で、「私たち」という意味です。
「mais」
「mais」の基本的な意味は「しかし」「けれど」で、逆説を表します。
「comme」
「comme」という単語には2つの使い方があります。
1つは「比較のcomme」で、「~のように」「~のような」という意味です。
もう1つは「感動のcomme」で、意味は「なんて~!」「なんと~!」です。
この意味の「comme」は副詞で、フレーズの全体にかかることが多く、感動を表します。
「comme」は「比較のcomme」として使われることの方が多いです。
「感動のcomme」は複数の節がある場合を除いては、文の先頭に来るのが普通なので、慣れてしまえばわかりやすいです。
「loin」
「loin」は、空間的・時間的に「遠くに」という意味です。
背景を見てみると
王子さまが降り立った地球は、誰もいない砂漠で、しかも夜でした。
ヘビと話しているのですが、王子さまが思うのは、やはり自分の星に残してきたバラの花のことです。
王子さまが指さしているかどうかの記述はないのですが、ヘビに向かって「みてごらん、ぼくの星を」と言った後に、今回の2つのフレーズが続くのです。
ここでの「elle」
今回の2つのフレーズにある「elle」は、直前のフレーズに「ma planète(私の惑星)」があるので、人を指しているのではありません。
先ほどもお伝えしたように、3人称代名詞はモノを指すこともあり、その場合は女性名詞のモノになります。
「planète(惑星)」は女性名詞なので、「elle」が使われているのです。
ここでの「nous」
3人称代名詞はモノを指すこともありますが、1人称代名詞の「nous」に関しては、基本的に人のみ。
ここではもちろん、王子さまとヘビなので、人だけではないのですが…。
3人称代名詞の特殊性がわかる場面です。
ここでの「comme」
ここまで読んでいただいたあなたには、今回扱う「comme」が、「比較のcomme」なのか「感動のcomme」なのかがおわかりでしょうか?
今回のフレーズ「Mais comme elle est loin !」には、文頭に逆説の「mais」がついているものの、基本的にはフレーズ全体にかかっているので、「なんて~!」「なんと~!」を表す「感動のcomme」です。
どちらかというと用例が少ない使い方なので、このまま覚えるのもいいですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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