389 フランス語の国名は? Je n’ai pas fait encore le tour de mon royaume.

名詞

フランス語で言えますか?

今回のフレーズには「王国」という意味の名詞があるのですが、現在でも国名として使っているところがあります。

「王国」以外にも「国」「共和国」などの名詞があり、これを知らないと、フランス語でなんと呼ぶのかが分からない国もあります。

現在の国名と、歴史上の国名をまとめてみました。

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je n’ai pas fait encore le tour de mon royaume.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第10章の後半にある王様のセリフです。 

「je n’ai pas fait encore le tour de mon royaume」 

「je」は「わたし」、「n’ai」は否定の「ne」の省略形「n’」と「avoir」の活用形(現在形)「ai」が合わさったものです。 

「ne ~ pas」は否定表現です。

「fait」は「~を作る」「~をする」という意味の「faire」の過去分詞なので、「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。 

「encore」は、「まだ」「相変わらず」「また」「もっと」などを意味します。

「le」は定冠詞単数男性形、「tour」は「一周」「周囲の長さ」「回転」「順番」などの意味の男性名詞です。

「faire le tour de ~」の形で「~を一周する」という意味になります。

「mon」は所有形容詞1人称単数で「わたしの」、「royaume」は「王国」という意味の男性名詞です。

背景を見てみると 

旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。 

王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。 

王様は何にでも命令できるというので、王子さまは太陽に沈むように命じてほしいとお願いするのですが、結局は日没の時間まで待つことになるのだとわかります。

退屈した王子さまが出発すると言うと、王様は王子さまを法務大臣にするから行くなと言います。

今回のフレーズは、王子さまの「裁く人などいない」という言葉に反応した王様の言い分です。

王国

王様の星は、王子さまが座る場所すらないほど小さいものの、一応は「royaume(王国)」のようです。

もっとも、正式な名前などはありそうにもありませんが、フランス語での国名に「royaume(王国)」がついている国は、けっこうあります。

固有名詞なので、頭文字が大文字になります。

  • Le Royaume-Uni イギリス
  • Le Royaume d’Espagne スペイン
  • Le Royaume de Belgique ベルギー
  • Le Royaume du Danemark デンマーク
  • Le Royaume de Norvège ノルウェー
  • Le Royaume de Suède スウェーデン
  • Le Royaume du Maroc モロッコ
  • Le Royaume d’Arabie Saoudite サウジアラビア

イギリスについて

なお、イギリスの正式名称は

  • Royaume-Uni de Grande-Bretagne et d’Irlande du Nord
    (グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)

なのですが、長すぎるので「Le Royaume-Uni」で呼ばれることが普通です。

ちなみに「Uni」は「unir(結合する)」という動詞の過去分詞「uni」なので、「Le Royaume-Uni」の直訳は「連合王国」です。

過去の王国

フランスも、革命前には王様がいて「フランス王国」と呼ばれていました。

共和制になってからも何度か王制が復活したので、その都度「フランス王国」になっていたわけです。

過去の王国も調べてみました。

  • Le Royaume de France フランス(987〜1791年など)
  • Le Royaume de Prusse プロイセン(1701〜1918年)
  • Le Royaume de Naples ナポリ(1282〜1816年)
  • Le Royaume d’Hawaï ハワイ(1795〜1893年)

共和国

共和制になってからのフランスは、正式名称「フランス共和国」です。

「république(共和国)」が使われます。

  • La République française フランス
  • La République italienne イタリア
  • La République portugaise ポルトガル
  • La République fédérale d’Allemagne ドイツ連邦
  • La République d’Autriche オーストリア
  • La République de Madagascar マダガスカル
  • La République d’Haïti ハイチ

国家

ごくシンプルに「État(国家)」と呼ばれる国もあります。

「État」に関しては、頭文字が小文字の「état」にすると「状態」という意味の別の名詞になります。

母音から始まる単語なのでわかりにくいのですが、両方とも男性名詞です。

  • Les États-Unis アメリカ
  • L’État du Japon 日本

アメリカの正式名称は

  • Les États-Unis d’Amérique
    (アメリカ合衆国)

なのですが「Les États-Unis」とばかり呼ばれます。

イギリスの「Le Royaume-Uni」とともに、知らなければ、どの国のことを言っているのかが分かりませんね。

日本の「L’État du Japon」はかなり公式な場合のみで、どこでも「Japon」だけで呼ばれます。

あの外来語の由来

ちなみに、「クーデター」という外来語は「coup d’État」というフランス語由来です。

「coup」は「打撃」「一撃」「衝撃」などの意味の男性名詞、「d’État」は前置詞の「de」と「État(国家)」が合わさったものです。

「coup d’État」は直訳すると「国家への一撃」です。

ナポレオンの「coup d’État」が有名になったせいで、名誉なこととは思えませんが、フランス語由来の外来語として世界中で使われています。

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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

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