フランス語で言えますか?
今回のフレーズには「王国」という意味の名詞があるのですが、現在でも国名として使っているところがあります。
「王国」以外にも「国」「共和国」などの名詞があり、これを知らないと、フランス語でなんと呼ぶのかが分からない国もあります。
現在の国名と、歴史上の国名をまとめてみました。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je n’ai pas fait encore le tour de mon royaume.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第10章の後半にある王様のセリフです。
「je n’ai pas fait encore le tour de mon royaume」
「je」は「わたし」、「n’ai」は否定の「ne」の省略形「n’」と「avoir」の活用形(現在形)「ai」が合わさったものです。
「ne ~ pas」は否定表現です。
「fait」は「~を作る」「~をする」という意味の「faire」の過去分詞なので、「ai(avoir)+(動詞の過去分詞)」で、過去を表す表現です。
「encore」は、「まだ」「相変わらず」「また」「もっと」などを意味します。
「le」は定冠詞単数男性形、「tour」は「一周」「周囲の長さ」「回転」「順番」などの意味の男性名詞です。
「faire le tour de ~」の形で「~を一周する」という意味になります。
「mon」は所有形容詞1人称単数で「わたしの」、「royaume」は「王国」という意味の男性名詞です。
背景を見てみると
旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。
王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。
王様は何にでも命令できるというので、王子さまは太陽に沈むように命じてほしいとお願いするのですが、結局は日没の時間まで待つことになるのだとわかります。
退屈した王子さまが出発すると言うと、王様は王子さまを法務大臣にするから行くなと言います。
今回のフレーズは、王子さまの「裁く人などいない」という言葉に反応した王様の言い分です。
王国
王様の星は、王子さまが座る場所すらないほど小さいものの、一応は「royaume(王国)」のようです。
もっとも、正式な名前などはありそうにもありませんが、フランス語での国名に「royaume(王国)」がついている国は、けっこうあります。
固有名詞なので、頭文字が大文字になります。
- Le Royaume-Uni イギリス
- Le Royaume d’Espagne スペイン
- Le Royaume de Belgique ベルギー
- Le Royaume du Danemark デンマーク
- Le Royaume de Norvège ノルウェー
- Le Royaume de Suède スウェーデン
- Le Royaume du Maroc モロッコ
- Le Royaume d’Arabie Saoudite サウジアラビア
イギリスについて
なお、イギリスの正式名称は
- Royaume-Uni de Grande-Bretagne et d’Irlande du Nord
(グレートブリテン及び北アイルランド連合王国)
なのですが、長すぎるので「Le Royaume-Uni」で呼ばれることが普通です。
ちなみに「Uni」は「unir(結合する)」という動詞の過去分詞「uni」なので、「Le Royaume-Uni」の直訳は「連合王国」です。
過去の王国
フランスも、革命前には王様がいて「フランス王国」と呼ばれていました。
共和制になってからも何度か王制が復活したので、その都度「フランス王国」になっていたわけです。
過去の王国も調べてみました。
- Le Royaume de France フランス(987〜1791年など)
- Le Royaume de Prusse プロイセン(1701〜1918年)
- Le Royaume de Naples ナポリ(1282〜1816年)
- Le Royaume d’Hawaï ハワイ(1795〜1893年)
共和国
共和制になってからのフランスは、正式名称「フランス共和国」です。
「république(共和国)」が使われます。
- La République française フランス
- La République italienne イタリア
- La République portugaise ポルトガル
- La République fédérale d’Allemagne ドイツ連邦
- La République d’Autriche オーストリア
- La République de Madagascar マダガスカル
- La République d’Haïti ハイチ
国家
ごくシンプルに「État(国家)」と呼ばれる国もあります。
「État」に関しては、頭文字が小文字の「état」にすると「状態」という意味の別の名詞になります。
母音から始まる単語なのでわかりにくいのですが、両方とも男性名詞です。
- Les États-Unis アメリカ
- L’État du Japon 日本
アメリカの正式名称は
- Les États-Unis d’Amérique
(アメリカ合衆国)
なのですが「Les États-Unis」とばかり呼ばれます。
イギリスの「Le Royaume-Uni」とともに、知らなければ、どの国のことを言っているのかが分かりませんね。
日本の「L’État du Japon」はかなり公式な場合のみで、どこでも「Japon」だけで呼ばれます。
あの外来語の由来
ちなみに、「クーデター」という外来語は「coup d’État」というフランス語由来です。
「coup」は「打撃」「一撃」「衝撃」などの意味の男性名詞、「d’État」は前置詞の「de」と「État(国家)」が合わさったものです。
「coup d’État」は直訳すると「国家への一撃」です。
ナポレオンの「coup d’État」が有名になったせいで、名誉なこととは思えませんが、フランス語由来の外来語として世界中で使われています。
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント