語順ルールが存在!
今回のフレーズには、代名詞の目的格が2つ使われています。
日本語は語順が自由な言語なので意識しにくいのですが、フランス語の場合はしっかり語順が決まっています。
いくつかのルールがあるので、まとめてご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je te l’interdis.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第10章の始めにあります。
第10章の挿絵から7行目にあるフレーズで、王様のセリフです。
「je te l’interdis」
「je」は「わたし」、「te」は2人称代名詞単数目的格「君を」「君に」です。「l’interdis」は「le」の省略形「l’」と「interdis」が合わさったものです。
ここでの「le(の省略形「l’」)」は3人称代名詞単数直接目的「彼を」「それを」、「interdis」は「(モノ/事柄を)禁じる」という意味の「interdire」の活用形(現在形)です。
背景を見てみると
旅に出た王子さまが最初にやって来たのは、年老いた王様が1人で暮らす小さな星でした。
王子さまを見つけた王様は「家来がやって来た」とばかり、大喜びです。
でも長旅で疲れているのに、座る場所すらない王子さまは、王様の前であくびをしてしまいます。
すると王様は、礼儀に反すると王子さまをたしなめ、今回のフレーズになるのです。
人称代名詞の復習
まず、人称代名詞を復習しておきます。
このフレーズの目的語
さて、今回のフレーズは動詞以外がすべて代名詞です。
主語が「je(わたし)」、目的語のうち、「te」は形からは直接か間接かの判断ができませんが、「le(の省略形「l’」)」が直接目的の「彼を/それを」なので、ここでの「te」は間接目的の「君に」だとわかります。
つまり今回のフレーズ「Je te l’interdis.」は「わたしは君にそれを禁ずる」という意味です。
日本語なら、「わたしは君にそれを禁ずる」を「わたしはそれを君に禁ずる」に言い換えられますし、意味もほぼ変わりません。
でもフランス語では、語順を変えることはできないのです。
語順ルールの前提
変えられないのは、冒頭で触れた通り、フランス語には語順のルールがあるからです。
今回は、目的語(直接/間接)が両方とも代名詞である場合をご紹介します。
ちなみに、目的語が片方でも代名詞ではない場合は、このルールに当てはまりません。
こうした例は、後日改めてご紹介する予定です。
- 「主語・間接目的・直接目的・動詞」の語順になる
- 目的語は「1人称・2人称・3人称」の語順になる
- 目的語がどちらも3人称なら「直接・間接」の語順になる
1.「主語・間接目的・直接目的・動詞」の語順
目的語が代名詞の場合は動詞の前になり、目的語は間接→直接の順になるのが基本です。
そのため、「主語・間接目的・直接目的・動詞」の語順になるのです。
今回のフレーズはこの基本ルール通りになっています。
「Je te l’interdis.(わたしは君にそれを禁ずる)」を1つずつ見ていくと、
- je(わたし)
- te(君に)
- l’(それを)
- interdis(禁ずる)
このフレーズでは、基本通り「主語・間接目的・直接目的・動詞」の語順になっています。
2.目的語は「1人称・2人称・3人称」の語順
日本語ネイティブからすると、このあたりからが理解しにくくなるのですが、1番目の「間接→直接」という順番は、簡単に破られてしまうルールなのです。
それが「1人称・2人称・3人称」の語順です。
つまり、目的語に1人称があればそれが他よりも優先されて前に出て、2人称なら3人称よりも優先されるということです。
具体的には、
- Je te le présente.
(彼に君を紹介する)
1番目のルール通りなら、日本語の「彼に君を紹介する」同様、3人称の「le(彼に)」が先に来るはずですが、フランス語では「1人称・2人称・3人称」の語順になるので、3人称は必ず後になります。
3.目的語がどちらも3人称なら「直接・間接」の語順
そしてさらに、目的語がどちらも3人称である場合は、「直接→間接」の語順になります。
- Je le lui donne.
(彼にそれをあげる)
ここでも1番目のルール通りなら、日本語の「彼にそれをあげる」同様、間接目的の「lui(彼に)」が先に来るはずですが、目的語が両方とも3人称の場合は「直接→間接」の語順になります。
フランス語の目的格代名詞の語順
特にわかりにくい2と3のルールを、フランス語で整理すると、代名詞の優先順位は次のようになります。
- me, nous
(1人称の直接・間接目的語) - te, vous
(2人称の直接・間接目的語) - le, la, les
(3人称の直接目的語) - lui, leur
(3人称の間接目的語)
対象を変えてみよう!
ところで、今回のフレーズ「Je te l’interdis.(わたしは君にそれを禁ずる)」の「わたし」は王様です。
王様が王子さまに禁じている「それ」とは、あくびのことです。
このフレーズの目的語は「2人称の間接目的」→「3人称の直接目的」という構成なので、1番目の語順ルール通りになっています。
もしも王様が「わたしは彼にそれを禁ずる」と言うなら、両方の目的語が3人称になるので、3番目のルールに従い、語順が変わります。
- Je le lui interdis.
(彼にそれを禁ずる)
実は以前の配信で「わたしと君ファースト(1・2人称が必ず最初)」「これを彼に(直接→間接)」と覚える方法もご紹介しています。
今回はそれをさらに詳しくまとめたものです。
慣れるまでは少し大変ですが、繰り返し練習してみてくださいね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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