362 意外とけなげなバラの花! Je ne suis pas si enrhumée que ça…

その他(王子さま)

特殊な「si」も復習しよう! 

今回のフレーズはバラの花のセリフですが、それまでの態度とは180度異なる様子が見えてきます。 

「もしも」の意味ではなく、比較を表す「si」の使い方も、復習できますよ! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Je ne suis pas si enrhumée que ça…」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは第9章後半の会話部分にある、バラの花のセリフです。 

「je ne suis pas si enrhumée que ça」 

「je」は「わたし」、「ne」は「pas」とともに「ne ~ pas」の形で「~ない」という否定表現です。 

「suis」は「être」の活用形(現在形)です。 

「si」と「que」は後述します。 

「enrhumée」は「(人に)風邪をひかせる」という意味の「enrhumer」の過去分詞「enrhumé」の女性形、「ça」は「あれ」「それ」などの意味の「cela」の話し言葉です。 

背景を見てみると 

旅立ちの朝、王子さまはバラの花に別れを告げました。 

わがままで見栄っ張りなバラの花は、時にはウソをついて自分のことを大きく見せようとしたりしていましたが、急に自分の気持ちを打ち明けて謝罪までします。 

そんなバラの花は、それまでいろいろな要求をしていたのですが、その中には自分を寒さから守ってくれる、ガラスの球状のカバーがありました。 

「もう(カバーは)要らない」と言うバラの花に、王子さまは戸惑い、心配して「でも風が…」と言いかけるのですが、それに対する花の答えが今回のフレーズです。 

「enrhumé(e)」 

前述通り、「enrhumée」は「(人に)風邪をひかせる」という意味の「enrhumer」の過去分詞「enrhumé」の女性形です。 

ただしこれは辞書にある説明で、「enrhumer」という動詞を「(人に)風邪をひかせる」という意味だと言うのは、どこか不自然です。 

だからと言って他に訳しようもないので、このような書き方になってしまうのですが、実際にこの動詞を使うのは「être enrhumé(e)」という受動態になることが多いです。 

「わたしは風邪をひいている」と男性が言うなら「Je suis enrhumé.」、女性が言うなら「Je suis enrhumée.」になります。 

比較を表す「si」 

ところで、ここでの「si」は「que」と共に使われて比較を表す使い方です。 

このシリーズの第193回ですでに扱っているのですが、「ne ~ pas si +(形容詞/副詞)+ que ~」という形の一部です。 

この意味は「~ほど~ではない」なので、今回のフレーズ「Je ne suis pas si enrhumée que ça…」を直訳すると「それほど風邪をひいているわけではない…」になります。 

言いたいことは? 

ただし、ここでのバラの花は、長い旅に出てしまう王子さまに対し、気丈に振る舞っています。 

この場面ではバラの花が風邪をひいているわけではなく、「enrhumé」という過去分詞を形容詞のように使って「わたしはそれほど風邪ひきじゃない」と言っています。 

つまり、「それほどやわじゃない」と強がって見せているのです。 

わがままで見栄っ張り、ウソまでついてきたのに、意外とけなげなバラの花ですね! 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

コメント

タイトルとURLをコピーしました