貴重すぎる花!
今回のフレーズには「世界に一つだけの花」という表現があるのですが、それ以上に貴重であり得ない存在の花について語られています。
どのようにかけがえのない存在として語られているのかをご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Et si je connais, moi, une fleur unique au monde, qui n’existe nulle part, sauf dans ma planète,」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは第7章の後半にある王子さまのセリフの一部です。
「et si je connais, moi, une fleur unique au monde」
「et」は「そして」、「si」は「もしも」、「je」は「わたし」、「connais」は(人または物事を)「知る」「知っている」などの意味の「connaître」の活用形(現在形)です。
「moi」は「je(わたし)」の強勢形、「une」は不定冠詞単数女性形、「fleur」は「花」という意味の女性名詞です。
「unique」は「唯一の」「独特な」という意味の形容詞ですが、詳細は後述します。
「au monde」で、「世界で」という意味になります。
「qui n’existe nulle part, sauf dans ma planète」
ここでの「qui」は関係代名詞です(詳細はこのシリーズの第305回参照)。
「n’existe」は否定の「ne」の省略形「n’」と「existe」が合わさったものです。「existe」は(モノ/人が)「存在する」「実在する」という意味の「exister」の活用形(現在形)です。
「nulle」は「ne」などの否定語と一緒に使われて「いかなる~もない」という意味の形容詞「nul」の女性形、「part」は「部分」や「~の場」などを表します。
「nulle part」は決まり文句で、「どこにも~ない」の意味です。
「sauf」は「~は除いて」「~は別として」、「dans」は「~の中に」「~の中で」など、「ma」は所有形容詞女性形で「私の」、「planète」は「惑星」という意味の女性名詞です。
背景を見てみると
生死にかかわる飛行機の修理にかかりきりの語り手の男性は、羊と花の関係という、大事とは思えない王子さまの質問に対して適当に答え、2人は険悪な状況になってしまいます。
王子さまは、ある星で出会った他の男性について語ることで、男性が忘れかけていたことを思い出させようとしています。
フレーズの全体は「Et si je connais, moi, une fleur unique au monde, qui n’existe nulle part, sauf dans ma planète, et qu’un petit mouton peut anéantir d’un seul coup, comme ça, un matin, sans se rendre compte de ce qu’il fait, ce n’est pas important ça !」です。
今回扱うのは、この長いフレ-ズの始めの部分です。
「世界に一つだけの花」
このフレーズで「世界に一つだけの花」と言っている部分は「une fleur unique au monde」です。
「unique」は「唯一の」「独特な」、「au monde」は「世界で」という意味なので、文字通り「une fleur unique au monde(世界に一つだけの花)」です。
世界に一つ以上の存在
そして今回のフレーズでは、「qui n’existe nulle part, sauf dans ma planète,」と続きます。
「qui n’existe nulle part」の部分の「qui」は花を指していて、「n’existe nulle part(どこにも存在しない)」ということです。
ただし「sauf dans ma planète」で「わたしの星(つまり王子さまの星)以外には」という断りがあります。
普通は「une fleur unique au monde(世界に一つだけの花)」と言えば「地球上に一つだけの花」と考えられますが、この花は王子さまの星だけの存在なので、「世界に一つだけ」と言うよりは、「宇宙に一つだけ」ということになりそうです。
「unique」
ところで、このフレーズにある「unique(唯一の/独特な)」の意味は「唯一の」の方ですが、この形容詞には「独特な」という意味もあります。
日本語の「ユニーク」は「独特な」「他とは異なる」という意味が強く、「唯一の」という意味で使われることは、まずありません。
フランス語では「唯一の」「独特な」という両方の意味で使われますが、実は少し特殊な形容詞です。
というのも、語順によって意味が変わる場合があるのです。
つまり「unique」が名詞の前にあるか、後ろにあるかが、意味に影響するのです。
「unique」+ 名詞
「unique」が名詞の前に来る場合、つまり語順が「unique」+ 名詞の場合は、「unique」が必ず「唯一の」という意味になります。
例えば
- C’est mon unique espoir.
(私の唯一の望みだ) - C’est un unique souvenir du voyage.
(旅の唯一の思い出だ)
名詞 +「unique」
「unique」が名詞の後ろに来る場合、つまり語順が名詞 +「unique」の場合は、「unique」が「唯一の」「独特な」というどちらの意味になるかは文脈によります。
例えば
- C’est son fils unique.
(彼の1人息子だ) - Il a un talent unique.
(彼は独特な才能の持ち主だ)
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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