291 第3の命令形と未来表現を1度に覚えよう! Allons voir un coucher de soleil…

動詞

強制や依頼以外の命令形+未来表現

「命令形」というと、「~しろ!」や「~してください」というイメージがありますが、フランス語の命令形には、こうした強制やお願い以外の表現もあります。 

そして今回のフレーズには、このシリーズ初登場の未来表現も。 

短いフレーズで、この2つをまとめて覚えましょう! 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Allons voir un coucher de soleil…」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第6章の始めにあります。 

第6章の最初の段落のすぐ後の会話部分にあるフレーズで、王子さまのセリフです。 

「allons voir un coucher de soleil」

「allons」の部分が「第3の命令形」ですが、後述します。 

「voir」は動詞の原形で「~を見る」「~が見える」などの意味です。 

「un」は不定冠詞単数男性形、「coucher」は男性名詞で「就寝」「寝ること」「(太陽や月が)沈むこと」という意味です。 

「de」は前置詞、「soleil」は「太陽」「日光」「日差し」を意味する男性名詞です。 

「coucher de soleil」で「日没」という意味になります。 

背景を見てみると

王子さまが羊の絵をねだったのは、王子さまの星の厄介者であるバオバブを食べてもらうためでしたが、その一方で王子さまは、星での暮らしについても話すようになりました。 

男性は、王子さまの唯一の気晴らしは日没を眺めることだったことに気づきました。 

そのきっかけとなったのは、「日没が大好きなんだ」というひと言と、それに続く今回のフレーズでした。 

第3の命令形

さて、まずは命令形から。 

このシリーズの第282回で2種類の命令形を扱っているのですが、その中では「主語がない」こと、プラス「2人称の現在形」という2つの要素がカギになるとご紹介しています。 

この2種類の命令形に関しては、第282回を参照していただきたいのですが、今回のフレーズにある第3の命令形は、「主語がない」こと、プラス「1人称複数の現在形」という要素がカギです。 

そして「命令形」と呼ばれてはいますが、「~ましょう」という意味の勧誘表現です。 

「allons」

では、この「allons」の原形はと言うと、「行く」というのが代表的な意味である「aller」です。 

「aller」の現在形の活用を表にしておきます。 

過去分詞は「allé」です。 

単数 1人称 je vais 
 2人称 tu vas 
 3人称 il/elle va 
複数 1人称 nous allons 
 2人称 vous allez 
 3人称 ils/elles vont 
「aller」の現在形

「1人称複数の活用形」

第3の命令形は「1人称複数の現在形」でしたね? 

つまり「aller」を使って第3の命令形にしたい場合は、主語が「nous」の現在形である「allons」になるわけです。 

ここまでが、「第3の命令形」についてです。 

「allons voir」

ただし今回のフレーズには、「allons」の後ろに「voir」という動詞もついています。  

先ほどもご紹介した通り、「voir」は原形で「~を見る」「~が見える」などの意味なのですが、この動詞が原型になっているのには、理由があります。 

「aller +(動詞の原形)」という形が、「近接未来形」と呼ばれる未来表現だからです。 

日本語は現在形と未来形が同じ形なので、和訳すると同じになりますが、これからする「近い未来」を表します。 

つまり今回のフレーズは動詞の部分を「allons voir」とすることで、「第3の命令形+未来表現」という2つを同時に表していることになります。 

「allons voir」は、「見に行きましょう」という意味になります。 

動詞部分のまとめ

では、今回は新しい内容が2つも登場したので、ここまでの内容をまとめておきます。 

【第3の命令形】

  • 1人称複数の現在形(nous)と同じ 
  • この形で主語がない場合は、第3の命令形である 
  • 命令形と呼ばれるが、「強制」や「依頼」ではなく「勧誘」である 
  • 「~ましょう」という意味になる 

【近接未来形:未来表現】

  • 「aller +(動詞の原形)」:近接未来形(未来表現) 
  • 和訳する場合は現在形と同様 
  • ただし、これからする「近い未来」を表す 

「aller」について

最後に、「行く」というのが代表的な意味である「aller」について確認しておきます。 

今回の動詞の時制としては、「aller +(動詞の原形)」という未来表現でしたが、そもそも「aller」は特殊な動詞です。 

先ほどまとめたように、活用の仕方が特殊であるだけでなく、過去表現に「être」を伴なう「17の変わり者動詞」の1つです。 

(「17の変わり者動詞」に関しては、このシリーズの第207回などを参照してください) 

要するに「aller」は、過去表現で「変わり者」、現在形で「変わった活用をする」、未来表現では「大活躍する」動詞なのです。 

2つならず3つまで!

これを踏まえて今回のフレーズ「Allons voir un coucher de soleil…(日没を見に行こう)」を覚えておけば、「第3の命令形」「未来表現」に加えて「coucher de soleil(日没)」という言い方も覚えられます。 

お得ですね! 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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