寝起きのセリフ
今回のフレーズは語り手の男性のセリフなのですが、寝ていた自分を起こした王子さまに驚いて、とっさに口をついて出た言葉です。
それだけに、日常にあふれている表現だということです。
親しい間柄で使われる「tu」の用法や、動詞の活用形などもご紹介します。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Mais… qu’est-ce que tu fais là ?」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第2章の前半の中ほどにあります。
第2章では、王子さまが語り手の男性に3度ほど羊の絵をねだり、3枚も描き直してもらったのに気に入らず…というやり取りが繰り返されます。
今回のフレーズは、前半の挿絵のない部分の、ちょうど中ほどにあり、語り手の男性のセリフです。
「mais」
「mais」は第21回でご紹介済みです。
基本的な意味は「しかし」「けれど」で、逆説を表します。
「qu’est-ce que」
「qu’est-ce que」は1つの単語として扱います。
意味は「何」です。
「Qu’est-ce que c’est ?(これ/それ/あれは何ですか?)」が非常によく使われます。
「tu」
「tu」は第26回でご紹介済みですので、まとめます。
- 「あなた」「きみ」「おまえ」などを表す、2人称代名詞単数です。
- 親しい間柄で使われます。
このフレーズの時点では、王子さまと語り手の男性は初対面です。
それにも関わらず、男性が親しい間柄で使われる「tu」を使っているのは、相手が明らかに小さな子どもだからです。
これはお話しの中だけに限らず、実際の生活の中でもこのように言うのがごく普通です。
「fais」
「fais」は「する」を表す動詞「faire」の2人称単数直説法現在の活用形です。
「faire」はひんぱんに使われる不規則動詞で、まずは直説法現在(普通の現在形)を覚える必要があります。
ちなみに、1人称単数も同じ形なので、「je fais」「tu fais」となります。
「là」
「là」も第17回でご紹介済みですので、まとめます。
- 「そこ」「あそこ」を意味し、離れた場所を表す。
- 「ここ」を意味する「ici」よりも離れた場所を指す。
- 「là」には「a」にアクセントがつき、定冠詞の「la」とは異なる。
なぜ「でも…」なのか?
疲れ切って眠っていたところを王子さまに起こされた語り手の男性が、思わず口にしたのが、今回のフレーズです。
砂漠のまんなかにいるのに、ノドが渇いているわけではなく、疲れた様子もない王子さまに驚き、羊の絵を描いてほしいと言われるのも不思議なので、「でも…」と言ったのでした。
「qu’est-ce que tu fais là ?」
そして口についた出たのが「qu’est-ce que tu fais là ?」です。
「qu’est-ce que」の後は、主語となる名詞+述語となる動詞が来て、「節」と呼ばれる小さなフレーズの一部になります。
今回の場合だと、「tu fais là」が節で、これだけだと「あなた/きみ/おまえはそこで~する」で、「~」の部分が足りません。
その足りない部分を「qu’est-ce que」で聞いているのです。
「qu’est-ce que」は長すぎる?
フランス語を始めた入門期に「qu’est-ce que」という言葉を見て、「フランス語って『何』を言うためにこんなに長くなるの?」と思ったのは、私だけではないはず。
でも、フランス人に日本語を教えていると、「どうして『どうぞよろしくお願いします』なんて長々と言わなきゃいけないの?」と言われることもしばしばです。
自分の母国語より短くなった時には何とも思わないのに、長くなると面倒くさくなるのは、日本人だけではないようです。
とてもよく使うので、スペルと一緒に覚えたいですね!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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