266 文学的表現と日常会話の違いとは? on ne peut jamais plus s’en débarrasser.

その他(王子さま)

リズムや響きの違いとは?

今回のフレーズには、一部文学的な表現が含まれています。 

意味は同じなのですが、日常会話で使う表現とは若干異なります。 

フレーズのリズムや響きの違いを感じてみてください。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「on ne peut jamais plus s’en débarrasser.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第5章の中ほどにあります。 

第5章2枚目の挿絵の直前にある段落にある長いフレーズの後半部分で、語り手の男性の説明部分です。 

「on ne peut jamais plus s’en débarrasser」

「on」特殊な人称代名詞で、主語としての「人」を表すのが基本的な働きです。 

詳細はこのシリーズの第93回を参照してください。 

「peut」は、「pouvoir」の3人称単数現在の活用形です。 

「pouvoir +(動詞の原形)」で、「~することができる」「~してもいい」という意味になります。 

「pouvoir」についている動詞の原形「s’en débarrasser」については後述します。 

なおこの動詞は、「もう2度と決して~ない」という意味の「ne ~ jamais plus」で強く否定されています。 

背景を見てみると

語り手の男性は一般論として、植物がどのように地上に姿を現すのかを説明しています。 

地上にいる私たちからは見えない、土の中に眠っている種には、よい植物のよい種と、悪い植物の悪い種があります。 

王子さまの星には、恐ろしい種が存在しており、それはバオバブの種でした。 

今回扱うのは、バオバブの恐ろしさが語られる長いフレーズの後半部分です。 

フレーズの全体もご紹介しておきます。 

「Or un baobab, si l’on s’y prend trop tard, on ne peut jamais plus s’en débarrasser.」 

前半部分はこのシリーズの第265回でご紹介していますが、「バオバブ(の対処)に取りかかるのが遅すぎれば」という意味です。 

「débarrasser」

さて、先ほど触れなかった動詞の原形部分について、まずは「débarrasser」からご紹介します。 

「débarrasser」は、人が主語だと「(食卓などを)片付ける」という意味になります。 

また「débarrasser A de B」という形で、「AからBを取り除く」という意味になります。 

「se débarrasser」

そして「débarrasser」に再帰代名詞の「se」がついて「se débarrasser」という代名動詞になると、「se débarrasser de ~」という形を取ります。 

人が主語で「(モノを)捨てる」「(コートなどを)脱ぐ」「(荷物を)下ろす」などの意味に、また「(人を)追い払う」という意味にもなります。 

「捨てる」「脱ぐ」「追い払う」などは、それぞれ別の動詞でも表現できるのですが、「se débarrasser de ~」を使うことにより、「(要らなくなったもの・とりあえずは不要なものを)あっちへ追いやる・どける」というニュアンスが加わります。 

「再帰代名詞」や「代名動詞」については、このシリーズで何度もご紹介しているので、詳細は第140回などを参照してください。 

「s’en débarrasser」

さらに代名詞の「en」がついた「s’en débarrasser」が、今回のフレーズの動詞です。 

ここでの「en」は、「se débarrasser de ~」の「de ~」に相当します。 

背景で触れた通り、このフレーズの前半部分は「バオバブ(の対処)に取りかかるのが遅すぎれば」という意味です。 

そして今回扱う後半部分では、「~することができる」という意味の「pouvoir +(動詞の原形)」という形の動詞の原形部分に「s’en débarrasser」が入っています。 

なので「それを捨てることができる」、つまり「バオバブを捨てる(取り除く)ことができる」という意味になるのですが、「もう2度と決して~ない」という意味の「ne ~ jamais plus」で強く否定されています。 

通常の語順とは?

ところで、今回のフレーズにある強い否定「もう2度と決して~ない」という意味の「ne ~ jamais plus」は、文学的な表現です。 

日常会話などでよく使われるのは、「ne ~ plus jamais」の方です。 

つまり今回のフレーズ「on ne peut jamais plus s’en débarrasser.」は、通常なら「on ne peut plus jamais s’en débarrasser.」になるということです。 

語順が変わるだけで、意味は変わりません。 

でも、フレーズのリズムや響きは変わりますよね! 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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