前置詞つきで覚えよう!
このフレーズは、ある前置詞を加えたバージョンにすることができ、そちらを使う方が一般的です。
今回、あらためて複数のネイティブに聞いてみたのですが、全員が前置詞つきで使うと答えました。
後半部分でご紹介しますね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Ce n’est pas ma faute.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第2章の始めの方にあります。
第2章では、王子さまが語り手の男性に3度ほど羊の絵をねだり、3枚も描き直してもらったのに気に入らず…というやり取りが繰り返されるのですが、始めに羊の絵をねだったすぐ後の、語り手の男性の説明の中の1つが、今回のフレーズです。
「Ce n’est pas」
意味は「これ(それ・あれ)は~ではありません」です。
「c’est」で始まるフレーズの否定文です。
前回(第11回)で詳しく説明しています。
「ma」
「ma」は所有形容詞、1人称で単数の女性形です。
1人称の所有とは「私の」「僕の」「オレの」ですよね?
単数で女性形とは、その後の名詞が単数で女性形だということです。
ですので、話し手の性別は関係なく、後に来る名詞の性別によります。
「mon」
このシリーズでは、これまですでに2つの1人称単数形容詞を扱い、今回の「ma」で3つ目です。
なので、ここで少し整理しておきたいと思います。
まず、第1回で扱ったのが「mon」で、所有形容詞・単数・男性形でした。
意味は今回の「ma」と同じく、「私の」「僕の」「オレの」です。
「ma」との違いは、この単語「mon」の後に来る名詞が男性名詞だということですね。
「moi」
そして第5回で扱ったのが「moi」で、文法上は1人称代名詞の単数です。
意味は「私」ですが、同じ1人称代名詞単数の「je」の強勢形と言われる形です。
「chez moi」などの形で使われます。
「faute」
「faute」は女性名詞で、「間違い」「誤り」「過失」「責任」などという意味です。
なので、今回のフレーズを直訳すると「これ(それ・あれ)は私の(僕の・オレの)間違い(責任)ではありません。」になります。
言い訳のニュアンスが変わる?
このフレーズは、王子さまとの会話部分ではなく、語り手の男性が説明している部分に出てきます。
砂漠のまんなかで乗っていた飛行機が故障し、疲れ果てて寝ていたところを、かわいらしい声で起こされ、飛び起きて目をこすりながら見てみると、王子さまがいたシーンです。
男性は、後になって描いた王子さまの絵のうちの一番出来のいい作品を紹介してくれているのですが、一番マシではあるものの、本物の王子さまにはとても及ばない出来であることや、なぜ男性がうまく描けないのかなどを、クドクドと言い訳をしています。
Ce n’est pas ma faute.
男性が「自分の間違い(責任)ではない」と言っているのは、自分の絵のレベルのことなのですが、「Ce n’est pas ma faute.」という表現を使うことで、自分には罪がない、イコール無実だと言っているのです。
自分の絵が上手ではないのは、6歳の時に画家になろうとするほど夢中で絵に取り組んだのに、自分の絵をよく見もせず、自分の話しをよく聞きもせず、他の勉強や職業を勧めた大人たちが悪い、だから「自分の間違い(責任)ではない」と言っています。
Ce n’est pas de ma faute.
このフレーズがもし、「Ce n’est pas de ma faute.」だとしたら、少しだけ印象が変わります。
この2つのフレーズの違いは、「de」がつくかつかないかだけですし、和訳はどちらも 「自分の間違い(責任)ではない」になってしまいますが、ニュアンスが若干変わります。
「de」がつくことで、「自分のせいではないけど、絵はうまくない」程度の、一般的な言い訳レベルになるのです。
よく使われるのは、この「de」がつくフレーズなので、わずかな違いではありますが、「Ce n’est pas de ma faute.」で覚えておくのがおススメです!
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
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