七変化する動詞?
「reposer」という動詞には、かなりいろいろな意味があります。
目的語を持たない自動詞・目的語を伴う他動詞としての違いだけでなく、同じ自動詞でも意味が変わり、さらに再帰代名詞を伴う代名動詞になると、また独特な意味になります。
日常生活でもよく使う表現とともにご紹介します!
「reposer」の成り立ち
先日(2025年2月13日)配信した、ブログ・ポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】第385回では、「reposer」が「poser(置く)」の前に「re-」を付けたものであること、「re-」には繰り返しの意味があるので、「reposer」の基本的な意味は「再び置く」であることをご紹介しました。
そして「reposer」には、「再び置く」の他にも「静かに置く」という意味があり、文脈で判断するということも付け加えました。
ですが、自動詞・他動詞・代名動詞などの形ごとに見てみると、その全体像が見えてきます。
他動詞と代名動詞はラク!
では、ここからはいろいろな意味の「reposer」を見ていきますが、まず結論から先に申し上げると、目的語を伴なう他動詞や、再帰代名詞を伴なう代名動詞は、割とシンプルです。
なので、先に他動詞と代名動詞からご紹介します。
A. 他動詞の「reposer」
「reposer」に目的語がついて他動詞になる場合は、「~を置く」「再び~を置く」という意味になります。
「poser」が「置く」という意味なので、繰り返しを表す「re-」がついた「reposer」が「再び~を置く」という意味になるのは、一番わかりやすく、覚えやすいと思います。
- Je repose le vase sur la table.
(花瓶をテーブルの上に戻す)
ただし「re-」がついていても、必ずしも「再び~を置く」という意味になるわけではなく、「reposer」が単に「~を置く」という意味になることも多いです。
- Elle a reposé le bébé dans son lit.
(彼女は赤ちゃんをベッドに寝かせた)
この場合は「赤ちゃんをベッドに戻す」というよりは、「赤ちゃんをそっとベッドに置く」という意味になります。
「poser」だと「(単に)~を置く」なのですが、「reposer」にすると「静かに置く」や「適切に置く」などの意味合いが若干あります。
B. 代名動詞の「reposer」
再帰代名詞や代名動詞などの文法用語を聞くと、途端にアレルギー反応の頭痛が起きてしまう方もいらっしゃるかもしれませんね!
私自身もそうだったので、よくわかりますが、「reposer」に関しては、逆に代名動詞の方が単純です。
「se reposer」の形で、「休む」「休息する」になるからです。
- Je veux me reposer.
(休みたい)
この「休みたい」は、「疲れたからお昼寝をしたい」という場合や、「最近働きすぎだから休暇が必要だ」という場合の両方で使えます。
やっかいなのは自動詞
目的語のない自動詞には複数の意味があり、後ろにつく前置詞で変わったり、文脈によっても変わったりするので、少々複雑になります。
自動詞の「reposer」には主に4つの意味があるので、それぞれの例文とともにご紹介します。
C-1. 「休む」
先ほどの代名動詞としての使い方にも共通するのですが、「reposer」は状況によっては「休む」「休息する」という意味になることがあります。
- Après une longue marche, il repose enfin.
(長い散歩の後、彼はようやく休む)
C-2. 「安らかに眠る」
「reposer」が長い休息、つまり亡くなったことを表すことがあります。
この場合は「安らかに眠る」という意味になります。
- Ici repose un grand homme.
(ここに偉大な人物が眠る)
C-3. 「基づく」
前述の【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】第385回での使い方は、「基づく」という意味でした。
「reposer sur ~」の形で「~に基づく」「~に依存する」という意味になり、場合によっては「(家などが)~の上に建てられている」にもなります。
- La réussite repose sur le travail et la persévérance.
(成功は努力と忍耐に基づく)
C-4. 「静止する」「じっとしている」
「reposer」がモノや状態が動いていない、安定していることを表すことがあります。
- Le livre repose sur la table.
(その本は机の上にある/置かれている)
自動詞の意味を見分けるには?
「reposer」が目的語を持たない自動詞として使われる場合、文脈によって意味が変わることが多いのですが、後ろに来る前置詞で意味がハッキリすることがあります。
先ほどご紹介した「reposer sur ~」の他に、「reposer dans ~」の形で「~にある」「~に存在する」になります。
- Le bonheur repose dans les petites choses.
(幸せは小さなことにある)
また主語を見ることで、意味がつかみやすくなります。
- 人が主語:「休む」や「安らかに眠る」の可能性が高い
- 物が主語:「基づく」または「静止する」が一般的
- 抽象的な主語:「基盤・根拠」に関連する意味が出やすい
日常会話の中で圧倒的によく使われるのは、代名動詞の「se reposer」です。
「Je veux me reposer.(休みたい)」ですね。
これをまず覚えて、他の意味に広げていくのが確実だと思います。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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