意味は同じでニュアンスが変わる
フランス語の形容詞は、名詞の後に付くのが普通ですが、中には名詞の前に付いたり、後に付いたりするものがあります。
こうした例として、ブログ・ポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】第373回では「long(長い)」という形容詞を扱いました。
名詞の前でも後ろでも、どちらでも意味は「長い」なのですが、ニュアンスは変わり、発音の仕方も変わります。
今回はその他の同様例をご紹介します。
語順で何が変わる?
「long(長い)」の場合は、他の多くの形容詞のように名詞の後に付けば、ただ単に「長い」というだけの意味ですが、前に付いた場合は、感情が伴うなどの主観的な表現になります。
つまり「un voyage long」なら単なる「長旅」ですが、「un long voyage」なら「長くつらい旅」であったり、「長くていろいろな経験をした旅」であったりといった、何らかの感情が伴うのです。
こうした感情がプラスイメージなのか、マイナスイメージなのかは、文脈によります。
「長い」という意味自体までは変わらずとも、ニュアンスが変わるのは確かです。
その結果、名詞の前に置かれる形容詞は、発音する時に多少のアクセントが置かれます。
- un long voyage(長くて〇〇な旅)
- un voyage long(長旅)
名詞の前にもつく他の形容詞
「long(長い)」のように名詞の前にもつく形容詞は、形容詞全体からすると少数派ですが、まだ他にもあり、ニュアンスが変わったり、発音するときに多少のアクセントが置かれたりします。
形容詞や組み合わせる名詞によっては、意味が変わることもあります。
なお、ご紹介する形容詞に2つの形を並べて表記している場合は、1つ目が男性形・2つ目が女性形です。
「long(長い)」なら「long/longue」と表記し、「long」が男性形「longue」が女性形ということです。
vrai/vraie(真の、本当の)
- un vrai problème(本当の問題)
→ 深刻または重要な問題というニュアンスを含みます。
- un problème vrai(真実の問題)
→ 単に問題が事実であることを述べています。
dernier/dernière(最後の、最新の)
- la dernière semaine(最後の週)
→ ある期間の終わりの週です。
- la semaine dernière(先週)
→ 現在からみて直近の1週間を指します。
jeune(若い、新しい)
- un jeune écrivain(若い作家)
→ 新進気鋭の作家というニュアンスを含みます。
- un écrivain jeune(若い作家)
→ 単に年齢が若い作家を指します。
petit/petite(小さい、ちょっとした)
- un petit problème(ちょっとした問題)
→ 問題の深刻さを和らげるニュアンスです。
- un problème petit(小さな問題)
→ 物理的または大したことではないという意味です。
形容詞の語順のポイント
形容詞の語順による変化をまとめます。
- 形容詞 + 名詞: 感情的・印象的なニュアンスが強調されます。
- 名詞 + 形容詞: 客観的または具体的な説明に近くなります。
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