意味の広がりや違いを感じよう!
日本で広く使われている外来語には、フランス語由来のものが少なくありません。
外来語があることでフランス語の単語が覚えやすくなる反面、本来の意味が抜け落ちたり、変わってしまうことすらあります。
外来語・元の単語の両方を知って、意味の広がりや違いを感じてください。
第7回目は、「モデル」です。
日本語の「モデル」
日本語で「モデル」というと、かなり広い意味で使われていますね。
元はフランス語由来の外来語ですが、英語を経由しているので、その影響が大きいようです。
「ファッションモデル」「絵画や彫刻などのモデル」という意味のほか、工業製品などの「見本・型」という意味でも使われますし、ごく限定的ながら「模範・お手本」という意味になることもあります。
- モデル①「ファッションモデル」
- モデル②「絵画や彫刻などのモデル」
- モデル③「見本・型」
- モデル④「模範・お手本」
フランス語の「modèle」
フランス語で「modèle」と言えば、意味の中心は「見本・型」と「模範・お手本」です。
後ほど例文でご紹介しますが、日本語の「モデル」という言葉でまず思い浮かぶのが「ファッションモデル」という意味であることが多いのに対し、フランス語の「modèle」には、どちらかというと華やかなイメージはありません。
なお「modèle」は、「絵画や彫刻などのモデル」という意味では使うものの、「ファッションモデル」という意味の場合は別の単語「mannequin」があります。
「mannequin」の詳細については、2025年8月1日配信の【フランス語のフレーズ】意味が狭まった外来語⑥マネキンをご参照ください。
フランス語の「modèle」の使い方をまとめると、
- modèle①「見本・型」
- modèle②「模範・お手本」
- modèle③「絵画や彫刻などのモデル」
ということになります。
いろいろな「modèle」
「modèle」の例文を挙げておきます。
- J’ai acheté le nouveau modèle d’iPhone.
(iPhoneの新機種を買った)
→ modèle①「見本・型」
- C’est un modèle de courage.
(勇気のお手本だ)
→ modèle②「模範・お手本」
- Il a posé comme modèle pour un peintre.
(彼は画家のモデルとしてポーズをとった)
→ modèle③「絵画や彫刻などのモデル」
などがあります。
「モデル」の複合語
日本語の「モデル」は英語の影響で、かなり広い意味になっているのは前述のとおりですが、それがよく表れているのが「モデルハウス」「モデルケース」「ビジネスモデル」など、2つ以上の単語が合わさった複合語です。
普段使っている際にはあまり気にしないと思いますが、フランス語視点で見ると、実はこうした単語に使われている「モデル」の意味は1つではありません。
- モデルハウス:maison témoin
- モデルケース:cas typique
- ビジネスモデル:modèle économique
「モデルハウス」は「見本としての家」という意味合いの「maison témoin」、「モデルケース」は「典型的な事例」という意味合いの「cas typique」、「ビジネスモデル」は「お金をどう生み出すかの仕組み」という意味合いで「modèle économique」と言われることが多いです。
必ずしも「modèle」という単語が使われるわけではないのです。
今回の「モデル」に関しては、意味が狭まったというよりは、広がってありとあらゆる使い方になっている例ですね!
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