誤解は必然
フランス人と結婚したと言うと、友人や知人に聞かれるのがコミュニケーションのことです。
私には留学経験がなく、フランスに関連した仕事に就いたこともなかったので、彼らには「寝耳に水」だったに違いありません。
主人は日本語どころか、英語もまったく話さないため、特に初めの頃は、誤解や言葉のすれ違いが多かったと思います。
今回は、誤解の具体例をお話しします!
ほぼゼロだったフランス語
ずいぶん前のことではありますが、今から考えるとあり得ないほど、スピード結婚だった私たち。
フランス語を勉強する間もなくフランスに来てしまったし、入門レベルそのものでした。
こういう状況なので、家の外ではともかく、主人に対しては、わからないことはその都度言い、わかるように説明してもらうか、辞書を引くようにしていました。
それでも、誤解は起こります。
主人のひと言
主人はひとり暮らしだった期間が長く、当時はとても忙しい仕事に就いていました。
そしてそもそも、フランス人と日本人の生活習慣が同じわけがなく、私はどうしてもストレスが溜まりがちに。
気をつけてはいるものの、やはり態度に出てしまっていたことがあったようです。
すると時々、主人が「Tu m’en veux ?」と言うのです。
どうしてこんな時に?
「veux」は「~を望む」「~を欲する」という意味の動詞「vouloir」の現在形なので、「僕のこといる?」という意味だと思い込んだ私。
「どうしてこんな時に?」と思いながら、イライラ気味に「Non !」と答えていました。
この頃は込み入った話しなどはできなかったので、それ以上ケンカもできず、それがかえって良かったのかもしれません。
「en」で激変!
ちなみに、この「Tu m’en veux ?」ですが、シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】の第234回でご紹介した通り、「僕のこといる?」という意味からはかけ離れた内容です。
なぜか前置詞の「en」がつくと、意味が激変してしまうからです。
「en vouloir」で、(人に対して)「腹が立つ」「恨んでいる」という意味になります。
つまり主人が言った「Tu m’en veux ?」は、「僕に対して怒っているの?」だったのです。
私にイライラ気味に「Non !」と言われて、何を考えていたのでしょうか…。
たくさんの奇跡
こうした誤解や言葉のすれ違いなどは、忘れてしまったことを含めると山ほどあります。
自分のカン違いに気づいた時の、恥ずかしさを伴なったショックは大きいこともしばしばです。
でも、そもそも語学が苦手な自分がフランスに住んでフランス語で生活していること自体が奇跡です。
「今、気がついてよかった!」「ま、いっか!」「しょうがないよね!」と思って、受け流すことにしています。
それでも、今まで致命的な大失敗をしなかったのは、これも奇跡かもしれません。
家族を含め、縁ある人には感謝の気持ちを心がけるようにはしています。
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