234 前置詞ってコワイ! Il ne faut pas leur en vouloir.

その他(王子さま)

前置詞で変わる?

今回のフレーズには「en」という前置詞が含まれています。 

たった2文字ですし、代名詞と一緒に発音されてしまうと聞き逃したりすることも。 

でも、決して侮れないほどの変化をもたらすことがあります。 

このフレーズの場所と背景

では、単語に入る前に、今回のフレーズ「Il ne faut pas leur en vouloir.」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第4章の中ほどにあります。 

第4章の3枚目の挿絵から2番目にある段落にあるフレーズで、語り手の男性による説明部分です。 

「il ne faut pas」

ここでの「il」には「彼」や「それ」などの意味はなく、形式的な主語という役割だけを担っています。 

「faut」は動詞「falloir」の活用形(現在形)です。 

「falloir」は活用・意味で少々特殊です。 

このシリーズの第229回でご紹介しているので、詳細はそちらをご覧ください。 

今回のフレーズでは、否定表現を伴なった「il ne faut pas +(動詞の原形)」の形で「~してはならない」という意味になっています。 

「leur en vouloir」

「leur」は3人称代名詞複数形の間接目的で「彼らに」「彼女たちに」「それらに」という意味です。 

「vouloir」は動詞の原形です。 

通常なら、人が主語で「~を望む」「~を欲する」という意味なのですが、ここでは「en」を伴なうことで、意味が変わっているので、後述します。 

背景を見てみると

語り手の男性は、王子さまの星だと考える小惑星、B612の発見にまつわる話しから、大人たちの性質へと、話題がシフトしています。 

大人たちは物事の本質を見ようとせず、数字にしか興味がありません。 

なので、どのように言えば大人たちが納得してくれるかという具体的な例を示しつつ、「大人というものはこういうものなのだから」と言い、今回のフレーズに続きます。 

ここでの「leur」

さて動詞部分を扱う前に、その直前にある「leur」について。 

これは「彼らに」「彼女たちに」「それらに」という意味ですが、背景からわかる通り、この言葉が指しているのは「les grandes personnes(大人たち)」です。 

この部分が代名詞になっているので、「人称代名詞の目的格は動詞の前に入れる」というルールにのっとり、「leur en vouloir」の語順になっています。 

「en」で激変!

では、ここからは「en vouloir」について考えていきます。 

まず先ほどもご紹介した通り、「vouloir」は通常なら、「~を望む」「~を欲する」という意味です。 

ただし「en」がつくと、意味が激変してしまいます。 

「en vouloir」になると、(人に対して)「腹が立つ」「恨んでいる」という意味になるのです。 

今回のフレーズの目的語は「leur(彼らに)」つまり「les grandes personnes(大人たち)」なので、「leur en vouloir」で「彼ら(大人たち)に対して腹を立てる/恨む」になるのです。 

フレーズ全体は?

そしてフレーズ全体を考えてみます。 

前半部分には「il ne faut pas +(動詞の原形)」があり、「~してはならない」という意味なので、「彼ら(大人たち)に対して腹を立てる/恨む」「~てはならない」になります。 

「vouloir」だけなら「~を望む」「~を欲する」という意味なので、やはりかなり違いますよね? 

前置詞は、たまに怖いんです! 

この記事を音声で聞くなら

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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