日本語にも共通する違い
寒い時期ですが、お元気でお過ごしですか?
今回は「風邪ひいちゃった!」の言い方、さらに単に「風邪をひいた」という言い方をご紹介しますが、その違いには、日本語にも共通するポイントがあるんです!
「風邪をひいている」
このブログとポッドキャストの【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】というシリーズの第362回で、「Je suis enrhumé.(わたしは風邪をひいている)」は、すでにご紹介しました。
- Je suis enrhumé.
(風邪をひいている)
これは「(人に)風邪をひかせる」という意味の「enrhumer」の受動態を使っており、「(現在)風邪をひいている」という意味のフレーズです。
「風邪をひいちゃった」
これを「風邪ひいちゃった」にする場合は、次のようになります。
- Je me suis enrhumé.
(風邪をひいちゃった)
「風邪をひいちゃった」という言い方は、寒いところにコートも着ないでいたせいなどで、「自分の不注意のせいで風邪をひいてしまった」という意味ですね。
このように「~てしまった」と言いたい場合には、代名動詞の過去表現を使います。
このフレーズの「me」の部分は再帰代名詞です。
代名動詞を過去表現にする時には「être +(過去分詞)」にします。
なお、再帰代名詞や代名動詞については、このシリーズの第140回などでご紹介しています。
「風邪をひいた」
「風邪ひいちゃった」には「自分の不注意のせいで~」という自責の念があるのですが、ただ単に「風邪をひいた」という事実だけなら、最初にご紹介した「風邪をひいている」を過去表現にします。
- J’ai été enrhumé.
(風邪をひいた)
前述通り「風邪をひいている」の動詞は受動態ですが、これを過去表現にするので「avoir +(過去分詞)」の形になります。
「été」が「être」の過去分詞で、さらに「enrhumer」の過去分詞「enrhumé」を重ねて、受動態の過去表現になっているのです。
女性が言うなら…
この3つを整理すると、次のようになります。
〈 受動態の現在 〉
- Je suis enrhumé.
(風邪をひいている)
〈 代名動詞の過去 〉
- Je me suis enrhumé.
(風邪をひいちゃった)
〈 受動態の過去 〉
- J’ai été enrhumé.
(風邪をひいた)
こうして見ると、始めの2つのフレーズ、受動態の現在と代名動詞の過去がほとんど同じで、違いは再帰代名詞「me」のあるなしだけです。
これは、どちらも「être +(過去分詞)」という形をとるからですが、文法的にはかなり違います。
なお女性が言う場合は、「enrhumé」の語末に「e」を足して「enrhumée」になりますが、発音は変わりません。
これは3つのフレーズ全てに共通しています。
日本語も同じ?
でもなぜ、代名動詞の過去が「~てしまった」という自責の念を表すのでしょうか?
まず、代名動詞についている再帰代名詞には「自分」という意味がある通り、代名動詞は自分の行動を表す意味が強く出ます。
そしてこのような特性を持った代名動詞を過去にすると、自分のした行為が影響したという意味が強まるので、自分の行動の反省を表すようになるのです。
日本語の「~てしまった」という表現も、過去の自分の行為を振り返っているニュアンスがあって、どこか似ています。
言語は違っても、やはり自責の念と過去時制は相性がいいのかもしれませんね。
ともあれ、どうか風邪などひかれませんように!
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