【フランスでの生活】フランスとニワトリの関係とは?

その他

フランス = オンドリ

フランスにとって、ニワトリは特別な生き物です。

サッカーやラグビーのフランス代表チームのマスコットはオンドリですし、そもそも「フランス = オンドリ」であると、多くのフランス人が自ら認めています。

今回は、その歴史や背景について調べたことをご紹介します。

フランス語のニワトリ

フランス語の動物の名前は本当にややこしく、その代表例とも言えるのがニワトリです。

2026年3月13日配信の【動物のフランス語】④ニワトリでもご紹介していますが、オス・メスで全く違う名前ですし、子どもであるヒヨコも単純に語尾だけが変化しているわけでもありません。

  • un coq(オス/総称)
  • une poule(メス)
  • un poussin(子ども)

ワールドカップ 1998

もう30年近くも前のことですが、1998年にフランスでサッカーのワールドカップが開催されました。

その少し前からフランスに住むようになった私は、その時の「footix」という名前のマスコットが、なぜニワトリをモチーフにして作られたのかがわかりませんでした。

フランスで開催されただけでなく、ブラジル相手にフランスが初優勝したこの大会は、本当に大盛り上がり。

上の子がまだ小さかったこともあり、我が家にもマスコットの「footix」がやって来ました。

そしてこの「footix」を前にして、「どうしてニワトリなんだろう?」と思った私は、主人に聞いてみました。

  • C’est le poulet.  Pourquoi ?
    (これ、鶏肉ね。どうして?)
  • C’est pas le poulet, c’est un coq.
    (鶏肉じゃない、オンドリだよ)
  • Pourquoi c’est un coq ?
    (どうしてオンドリなの?)
  • Parce que c’est la France !
    (だって、フランスだからさ!)

たどたどしいフランス語でお恥ずかしいのですが、このやり取りははっきり覚えているので、そのままご紹介します。

今思うと、主人の答えは全く説明になっていなくて、私はこの後もかなり長い間、なぜ「footix」がオンドリだったのかを知らずに過ごします。

フランスの象徴

この時に主人の言った「Parce que c’est la France !(だって、フランスだからさ!)」というのは、遠く離れた日本からやって来てまだ日の浅い私への説明としては不親切でした。

ただし、多くのフランス人の思いを端的に表したものであったとは言えると思います。

というのも、「フランス = オンドリ」というのは、フランス人が自ら誇りとして受け入れている象徴なのです。

これは例えば、日本の国鳥がキジであると学校で習う、といったレベルのモノではなく、フランス人がアイデンティティとしてオンドリを認めているといったレベルです。

世界中の他の国で考えてみると、このレベルでの動物とのつながりと言えば、オーストラリア人にとってのカンガルーとか、中国人にとっての龍ぐらいしか思い当たりません。

もしかすると、フランスのオンドリは、それ以上かもしれないと思うほどです。

きっかけはラテン語

では、なぜオンドリがフランスの象徴になったのかというと、その起源は意外と古いモノでした。

フランスがまだ「ガリア」という名前だった頃、古代フランスの人々はラテン語で「ガリア人」と呼ばれていました。

そしてなぜか、ラテン語には「ガリア人」を意味する単語と同じ綴り、同じ発音で、「オンドリ」を意味する単語もあったのです。

いわゆる同音異義語なのですが、スペルまで同じなので、当時の政治や文化の中心地だったローマでは、「ガリア人 = オンドリ」と連想するようになります。

中世の軽いからかい

そして中世になると、イングランドや神聖ローマ帝国といった周りの国から、「フランス人は誇り高く、ちょっと騒がしく、自尊心が強い」と思われていました。

そしてオンドリは、胸を張り、よく鳴き、自分の縄張りを主張する動物です。

そこで「フランス人=オンドリ」という、やや皮肉混じりのイメージが広まりました。

ここでのニュアンスは、「威勢はいいけど大したことないでしょ?」という軽いからかいです。

自分たちで取り込む

ここまでは、どちらかというとマイナスイメージだったのですが、15~16世紀頃になると、逆にフランス側がこのイメージを否定せず、むしろ誇りの象徴として採用し始めます。

その理由は、オンドリが夜明けを告げるのでこれを希望の象徴と捉え、勇敢であり、目覚めの象徴でもあることです。

そしてさらにオンドリは、キリスト教では「光」の象徴であるという、ポジティブな意味も持っていたからです。

まさに逆転の発想で、どちらかというと悪口だったものを、自分たちで都合よく、肯定的な意味合いを後付けしたと言えます。

フランス革命で定着

1789年のフランス革命以降、王家の象徴だった百合の花に代わる「国民の象徴」が求められました。

そこで「le coq gaulois(ガリアのオンドリ)」が共和制の象徴として使われるようになります。

特に、共和政・市民精神・誇りと結びついていきます。

これで「誇り高いオンドリ」というイメージがすっかり定着して、フランス人が自らのアイデンティティーとして認めるようになり、現在に至ります。

終わりなき論争!

なお前述通り、フランス語のニワトリは「coq(オンドリ)」「poule(メンドリ)」に分かれていますが、「le coq gaulois(ガリアのオンドリ)」と言うように、シンボルはオンドリのみ。

自尊心が強いのはいいとしても、「いちいちうるさいな〜」と思わされることもあるのがフランス人です。

胸を張っているように見えるし、朝だけでなくけっこういつでも「コケコッコー!」と鳴いているオンドリは、やっぱりフランス人そのものかもしれません。

ただしフランス人に「コケコッコー!」と言うと嫌がられます。

彼らの耳には絶対に「Cocorico !」と聞こえるそうですので、我が家の「コケコッコー vs Cocorico」論争には終わりがありません!

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