他とは扱いが変わる「20」
突然ですが、漢数字の「二十」は、「三十」や「四十」などと何も扱いが変わりませんよね?
もちろん数は違いますが、「二十」だけが他の漢数字と扱いが変わるということはありません。
ところが、フランス語で「20」をアルファベット表記すると、他の数字とは扱いが変わるので、それを掘り下げてみたいと思います。
漢数字より身近な存在
数字のアルファベット表記については、このブログ・ポッドキャストの他の配信でも言及していますが、フランスで生活していると、割と目にしたり、自分でも書く機会があるものです。
日本の漢数字に相当するイメージで、日本語だと縦書きの文章以外でお目にかかることは稀ですが、フランス語の数字のアルファベット表記は、日本の漢数字よりもずっと身近な存在です。
複数形が存在
そのため、このブログ・ポッドキャストでは、これまで何度かフランス語の数字について扱っています。
特に100までの数字の読み・書き・発音のポイントについては、0から30までを2025年4月18日の配信で、31から100までを2025年4月21日の配信でご紹介しています。
その中で扱った、20と80のアルファベット表記を、再度見てみます。
- 20 : vingt
- 80 : quatre-vingts
「20」のアルファベット表記は「vingt」ですが、「trente(30)」や「quarante(40)」などとは異なり、複数形が存在します。
フランス語で「80」のアルファベット表記をする際には合成構造になり、その構成は「80=4×20」になっているので「vingt(20)」が使われるのですが、「4×20」つまり「4つの20」なので、「vingts」という複数形になるのです。
単数?複数?
では、80から90までのアルファベット表記を見てみましょう。
- 80 quatre-vingts
- 81 quatre-vingt-un
- 82 quatre-vingt-deux
- 83 quatre-vingt-trois
- 84 quatre-vingt-quatre
- 85 quatre-vingt-cinq
- 86 quatre-vingt-six
- 87 quatre-vingt-sept
- 88 quatre-vingt-huit
- 89 quatre-vingt-neuf
- 90 quatre-vingt-dix
「vingt」の語末に「s」がついているのは「quatre-vingts(80)」のみ、81以降の「-vingt」の部分には「s」がつきません。
「quatre-vingts(80)」ちょうどなら「s」がつきますが、「80」の後に他の数字が続く場合には、なぜか単数形になってしまうのです。
ケタが増えると…
なお残念ながら、やっかいさはまだ続きます。
それは、数字のケタ数が増えた時です。
- quatre-vingts(80)
- quatre-vingt mille(8万=80.000)
- quatre-vingts millions(8千万=80.000.000)
- quatre-vingts milliards(8百億=80.000.000.000)
この中では、「quatre-vingt mille(8万)」にだけ「vingt」の語尾に「s」がついていません。
特殊な「千」
フランス語の数字は、英語などと同様に3ケタずつ区切ります。
そのため「mille(千)」「million(百万)」「milliard(十億)」などの単位を使います。
ところが、実は「mille(千)」だけが例外的な単位で、決して「s」がつかないのです。
それは「quatre-vingt mille(8万)」を見ればわかる通り、「vingt」「mille」の両方とも「s」をつけません。
なお、この例外は「mille(千)」が引き起こしたものなので、「vingt(20)」のせいではありません。
語尾の「s」が消えるのは?
つまり「quatre-vingts(80)」の語尾の「s」が消えるのは、
- 後ろに数字が足されて「quatre-vingt-un(81)」などになった時
- 後ろに「mille(千)」が足されて「quatre-vingt mille(8万)」になった時
の2種類ということです。
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