140 まる覚え不要な代名動詞と再帰代名詞 Maintenant je me suis un peu consolé.

動詞

まる覚えより効率的! 

フランス語の文法書を読むと、他ではあまりお目にかからない文法用語に出会います。 

今回のタイトルにある「代名動詞」や「再帰代名詞」などは、説明がないと意味不明ですよね? 

実は私、入門期にかなり文法書アレルギーになりまして、この2つの用語を知ったのは、フランス語のコミュニケーションには困らなくなった後でした。 

文法書や辞書の内容をまる覚えするよりも、はるかに効率的な方法がありますので、ご紹介します! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Maintenant je me suis un peu consolé. 」の場所と背景を確認しておきます。 

このフレーズは、第27章の始めにあります。 

第27章は2つ目の段落の最初にあるフレーズで、語り手の男性が思っていることです。 

「maintenant」 

「maintenant」は、「今」「現在」を意味する副詞です。 

「je me suis consolé」 

「je」は、「わたし」「僕」「オレ」などに相当する、1人称代名詞単数です。 

「me」は1人称代名詞ですが、目的語として使われる形です。 

意味は「私を」「私に」です。 

「suis」は、être動詞の1人称単数の活用形です。  

「consolé」は、「(人を)なぐさめる」「(苦痛などを)和らげる」という意味の動詞「consoler」の過去分詞です。 

ここでは、辞書などに「se consoler」と書かれている使い方です。 

後ほど深掘りします。 

「un peu」 

「un peu」の意味は「少し」「ちょっと」。 

「un peu」にほかの単語を組み合わせたり、「peu」だけの使い方もあるのですが、「un peu」または「un peu + 形容詞」がよく使われます。 

背景を見てみると 

王子さまは自分の星に帰り、語り手の男性も修理した飛行機で帰りました。 

それから6年が経ちましたが、男性は他人に、王子さまについて話したことはありません。 

同僚たちは奇跡的な生還を大喜びしてくれましたが、気分は晴れないままです。 

王子さまとの別れから6年後である現在の、男性の様子が今回のフレーズです。 

「代名動詞」 

先ほど、「consolé」は、「(人を)なぐさめる」「(苦痛などを)和らげる」という意味の動詞「consoler」の過去分詞であるとご紹介しました。 

またここでは、辞書などに「se consoler」と書かれている使い方であるとも触れました。 

「se consoler」という使い方は、一般的には「代名動詞」と呼ばれますが、ここでは説明を控えます。 

というのも、「代名動詞」として捉えてしまうと、元々の動詞の意味に加えて代名動詞の分も覚える必要があり、効率が悪いからです。 

「再帰代名詞」とは? 

では、どうすればいいのかというと、「se consoler」の「se」の部分に注目します。 

この「se」の部分は文法書などで「再帰代名詞」と呼ばれていますが、実は私がこれを知ったのは、たったの数年前でした(!) 

もちろん、数年前よりずっと前からこの使い方はしていたので、「再帰代名詞」という名前を知らなくても、使いこなすことは可能です。 

(日本語でどう呼ばれていようが、フランス語を話す上では関係ありませんからね?) 

フランス語の文法書を読んだことはあり、そこにはおそらく「代名動詞」や「再帰代名詞」の記述もあったと思うのですが、まったく記憶にありません。 

日本から持ってきた文法書は、引っ越しの時に捨ててしまったので、今となっては確認もできないのですが…。 

「再帰代名詞」の捉え方 

「再帰代名詞」という名前すら知らなかった私が、感覚的に意識していたのは、次の点です。 

  • すべての動詞に「se」がつくわけではないが、つくと意味が変わる 
  • 「se」の部分は、主語によって変化する 
  • いろいろな使い方があるが、「se」を「自分を」「自分に」と捉えることで解決する 

大切なのは2番目と3番目のポイントなので、まとめます。 

主語によって変化する 

辞書には「se consoler」のように、「se」としか書かれていないのですが、実際には今回のフレーズのように、主語に合わせて変化します。 

このシリーズの第124回で人称代名詞をまとめているのですが、その中の目的格の部分とよく似ています。 

次の表は第124回の人称代名詞をまとめたものに、目的格の部分を色付けしたものです。 

*注:カッコ内の「m’」などは、次に来る単語が母音などで始まる場合に使われる形です。 

そして、再帰代名詞の表がこちらです。 

主語 再帰代名詞 
je (j’) me (m’) 
tu te (t’) 
il/elle se (s’) 
nous nous 
vous vous 
ils/elles se (s’) 
再帰代名詞

3人称の部分が、単数・複数とも「se(s’)」になる以外は、まったく同じです。 

「自分を」「自分に」と捉える 

「se」の部分はかなり変化するのですが、これが「me」や「te」などになっても、捉え方は「自分」にします。 

「nous」「vous」などの複数形なら、「自分たち」です。 

例えば、自己紹介の時などによく使われる「Je m’appelle ~.」というフレーズも、元の動詞「appeler(呼ぶ)」に再帰代名詞がついた形です。 

「Je m’appelle ~.」で、「私は自分を~と呼ぶ」が転じて「私の名前は~です」になっています。 

「se consoler」 

今回のフレーズにある動詞の原形「consoler」は、「(人を)なぐさめる」「(苦痛などを)和らげる」であると、先ほどご紹介しました。 

これを「se consoler」にすると、「自分をなぐさめる」または、「自分の苦痛などを和らげる」つまり「苦痛が和らぐ」ということになります。 

今回のフレーズの主要部分 

ただし、今回のフレーズにはもうひとひねりあります。 

主要部分を抜き出すと「Je me suis consolé.」になりますね。 

これは「se consoler」の主語を「je(わたし)」にして、複合過去と言われる過去形にしたものです。 

複合過去の部分は、être動詞(suis)+ 動詞の過去分詞(consolé)に相当します。 

なので、「Je me suis consolé.」の部分は、「苦痛(悲しみ)が和らいだ」ということになります。 

今回のフレーズ全体 

今回は、少し込み入った内容になりました。 

実はこのフレーズを扱うのは、あと数ヶ月先にしようかとも思ったのですが、この直後にある、次回のフレーズとの関係で、思い切って取り上げました。 

ですので、多少混乱してしまった方もいらっしゃると思いますが、今はすべてを理解できなくても大丈夫です。 

最後に、今回のフレーズ全体を振り返っておきますね。 

「maintenant(今・現在)」「je me suis consolé(わたしは悲しみが和らいだ)」「un peu(少し・ちょっと)」なので、「今、私の悲しみは少し和らいだ」ということになります。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!

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