子どもでも使う表現
今回ご紹介するのは、けっして心地よい内容ではないのですが、日常会話で子どもでもよく口にする内容です。
また、特に住宅地を散歩していると、必ずと言っていいほど見る言葉でもあります。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Les serpents, c’est méchant.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第26章の終わりの方にあります。
第26章の2枚目の挿絵より9行前にあるフレーズで、王子さまのセリフです。
「les serpents」
「les」は、定冠詞複数形です。
「serpents」は、「ヘビ」を意味する男性名詞「serpent」の複数形です。
「c’est méchant」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「méchant」は形容詞で、「意地悪な」「たちの悪い」という意味です。
「chien méchant」
「méchant」という言葉は、本当によく使われます。
人に対してだけではなく、今回のフレーズのヘビ同様、動植物やモノを形容することがあります。
例えば、家の入口や玄関先に「chien méchant」と書いてあるのを見かけます。
直訳すると「意地悪な犬」ですが、「狂犬注意」ということですね。
なお、「méchant」の反対語はいくつかありますが、代表格が「gentil」です。
「gentil」は「親切な」「やさしい」「かわいらしい」「感じのいい」です。
先ほどの犬の例だと、「chien gentil」で「おとなしい犬」です。
背景を見てみると
さて、いよいよ別れの時が近づいた王子さまは、それまでの態度とは一転して、笑うのを止めます。
そして語り手の男性に、自分の旅立ちは見に来るなと言うのです。
王子さまは、こんなことを言うのはヘビのせいだ、きみがヘビにかまれてはならない、と言って今回のフレーズになります。
「méchant」と「gentil」
さらに、ヘビはかみついて喜ぶとも…。
王子さまは自分自身も怖くて悲しいのに、自分のいなくなった後に男性が幸せな気持ちになるように、何度も笑い声を聞かせたり、男性がヘビにかまれやしないかと心配したり、男性が自分のなきがらを見てショックを受けないように説明したりと、自分のことはすべて後回しです。
ヘビは王子さまによって「méchant」だと言われましたが、男性はたった8日間だけでも、どこまでも「gentil」である、王子さまと一緒に過ごせて、やはり幸せだったんですよね!
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