砂漠を知り尽くした作者ならでは
砂漠に行ったことがある方なら、今回のフレーズを読んで心に迫るものがあるのでしょうか?
残念ながら私は行ったことがないので、想像するしかないのですが、朝の陽の光に照らされると、まったく印象が異なるのでしょうね!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Le sable, au lever du jour, est couleur de miel.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第25章の中ほどにあります。
第25章の挿絵の後3行目からは段落になっているのですが、その段落の終わりから数えて7行目はさらに小さな段落になっており、その中の3番目にあるフレーズで、語り手の男性が思ったことです。
「le sable」
「le」は定冠詞単数男性形です。
「sable」は男性名詞で、「砂」という意味です。
次の「au lever du jour」が文頭に来る場合が多いのですが、ここでは主語である「le sable」を文頭にして強調しています。
「au lever du jour」
「au」は、前置詞の「à」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったものです。
「lever du jour」で「夜明け」を表します。
ここでの「lever」は男性名詞で、「(日や月が)昇ること」や「起床」という意味です。
「du」は、前置詞の「de」と定冠詞単数男性形の「le」が合わさったものです。
「jour」は男性名詞で、「1日」「曜日」「昼間」などの意味です。
「est couleur de miel」
「est」はêtre動詞の3人称単数形です。
「couleur」は女性名詞で、「色」「染料」「絵の具」「ペンキ」といった意味です。
「couleur de +(名詞)」は「~の色」を表し、形容詞のように使われます。
「miel」は男性名詞で、「ハチミツ」という意味です。
背景を見てみると
王子さまと語り手の男性が井戸を見つけたのは、夜明けでした。
途中で王子さまは眠ってしまいましたが、男性は王子さまを抱きかかえて歩き続け、砂漠の中なのに街中にあるような、不思議な井戸を見つけたのです。
王子さまに続き、男性も水を飲んで深呼吸をした後が、今回のフレーズです。
ハチミツ以外の色表現
今回のフレーズの「ハチミツ色」は、日本語で使ってもあまり違和感がないだろうと思います。
でも、フランス人と日本人では、色の表現が違うと感じることが時々あります。
特に髪や目の色の違いに敏感なため、青や茶色の表現方法が特徴的です。
青だと「青空の色」はもちろんのこと、「海のような青」「灰色がかった青」「電気のような青」「カモのような青」「ラベンダー色」「夜の青」など。
茶色だと「栗色」はよく知られていると思いますが、栗にも2種類ある上に濃淡だけでなく、「砂がかった栗色」などという表現もあり、また「チョコレート色」「キャラメル色」のほかに、日本ではあまり知られていない植物の色にもたとえられています。
伝統色のすごさ
なお、日本語だと「市松模様」と表現される、白と黒のツートンカラーは、鳥の「カササギ」に例えられます。
フランス人の色の表現には、風景や動植物由来のものが多いという印象です。
でも、日本古来の伝統色には、1000種類以上の色があると読んだことがあります。
そのほとんどは、やはり風景や動植物由来のようです。
日本人が普段は忘れてしまっているものの方が、フランス語よりよほど豊富で繊細だったということですね!
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント