再挑戦は一石二鳥!
このところ何日かお休みしていた【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】ですが、再挑戦をしていきます。
前回のフレーズとペアになっているので、復習と単語の整理ができて、一石二鳥です!
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「Je ne suis pour toi qu’un renard semblable à cent mille renards.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第21章の前半にあります。
2枚目の挿絵より8~10行前に、いくつもフレーズが続いている部分があるのですが、その中にあるフレーズで、キツネのセリフです。
「je ne suis」
「je」は、「わたし」「僕」「オレ」などに相当する、1人称代名詞単数です。
「ne」は、否定語です。
「suis」は、être動詞の1人称単数の活用形です。
「pour toi」
「pour」は前置詞で、いろいろな意味を持つのですが、「~のために」「~の理由で」「~にとっては」などが代表的です。
「toi」は、2人称代名詞の単数です。
意味は「きみ」ですが、同じ2人称代名詞単数の「tu」の強勢形と言われる形です。
「pour ~」の「~」の部分に代名詞が入る時は強勢形になるので、「pour toi」の形になります。
「qu’un」
「qu’un」は、限定表現で、「1つだけ」「1つしか」などの意味があります。
「qu’」 は「que」の短縮形で、ここでは「~だけ」「~しか」という意味です。
次の単語「un」が母音から始まっているので、短縮されています。
「un」は、数字の「1」ですが、男性形です。
女性形なら「une」になり、発音も変わります。
次に来る名詞が男性名詞なので、「un」を使っています。
「renard」
「renard」は男性名詞で、「キツネ」という意味です。
最後の単語「renards」は、この単語の複数形です。
「semblable à ~」
「semblable」は形容詞で、「似た」「同じような」という意味です。
「semblable à ~」の形で、「~に似た」「~と同じような」になります。
「cent mille」
「cent」は数字の「100」、「mille」は数字の「1000」で、「cent mille」は数字の「10万」を表します。
「100」はゼロ2つ、「1000」はゼロ3つなので、「100,000」となり、「10万」です。
一見面倒くさいのですが、「,(カンマ)」の前と後を続けて読んでいるだけなので、慣れればフランス語の方がカンタンに読めるようになります。
背景を見てみると
このシリーズ第100回で扱った、「Tu n’es encore pour moi qu’un petit garçon tout semblable à cent mille petits garçons.」と同じく、ここでのキツネは、日本語で言うところの「縁結び」を説明しようとしています。
第100回のフレーズでは、「キツネにとっての王子さまは、その辺にいる多くの男の子と何ら変わらない」と言い、今回は「王子さまにとってのキツネは、その辺にいる多くのキツネと変わらない」と言いたいようです。
偉大な師匠に匹敵?
まだ知り合ったばかりの2人(あくまでも1人と1匹ですが…)には関係性がないが、これからキツネが言うことを実行すれば、ご縁がうまれる。
ご縁がうまれれば、お互いが掛け替えのない存在になる、ということを、わかりやすい表現で説明するキツネは、「師匠」と呼ばれるような、偉大な哲学者のようです。
難しいことを簡単な言葉で伝えるのは、難しいまま伝えるよりもずっと難しいことですからね!
王子さまの心理的な成長の足跡が見えるようです。
この記事を音声で聞くなら
シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね!
コメント