ああ、私のカン違い!
この短いフレーズは、フランス人と話しているとよく登場します。
でもフランス語を始めたばかりの頃、これを言われると少し寂しい思いをしたり、違和感があったりしました。
理由は私の勉強不足だったのですが、同じカン違いをして欲しくないので、お伝えします。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回のフレーズ、「C’est possible. 」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第15章の中ほどにあります。
地理学者のセリフです。
「c’est」
「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。
意味は「これ(それ・あれ)は~です。」
「possible」
「possible」は形容詞で、「可能な」「できる限りの」「ありそうな」という意味の名詞です。
「e」で終わる形容詞なので、男性形・女性形で形や発音の変化はありません。
背景を見てみると
王子さまにとって、地理学者は友だちになれる相手ではありませんでした。
それがわかっていながら、それでも王子さまは、自分の知りたいことは吸収しようとします。
地理学者の説明を聞きながら、自分の知り合いにも当てはまる可能性があると言った王子さまに対して、返ってきた答えが、今回のフレーズです。
「possible」について
「possible」の代表的な意味は「可能な」なのですが、フランス語入門期の私は、他にも意味があるのに、これ1つしか覚えていませんでした。
冒頭でもご紹介した通り、今回のフレーズはかなりいろいろな場面で使われます。
当時の私は、いろいろな場面で使われる、本当はいろいろな意味のある「C’est possible.」を、すべて「可能だ」と受け取っていました。
日本語は同苦する言語
すると、何が起こるのかと言うと、ひと口で言えば「寂しくなる」のです。
日本語なら「それ、あるあるだよね~!」や「うん、大丈夫!」、さらには「私にまかせて!」とまで言ってくれそうな場面でも、「C’est possible(可能だ)」で済まされたと感じていたのですから。
日本語には共感や同苦の気持ちを表す表現がたくさんあるので、この単一の言い方にはなじめずにいました。
フランス語は冷たい?
「フランス語って、冷たいんだな」と感じるのは、私一人だけではないかもしれません。
確かに日本語に比べれば、あいづちを打つたびに、さまざまな言い方で共感する言語ではないかもしれません。
でも、「C’est possible.」にいろいろな意味が含まれているのを私が知らなかったように、こちら側の知識が足りないだけで、実は相手は同苦してくれているかもしれません。
フランス人と付き合っていると、中にはさりげなく配慮をしてくれていたり、手を差し伸べてくれたりする人がいます。
そういう人の「C’est possible.」は、「それはありそうだ」転じ、「それって、あるあるだね!」だと受け取っていいのではないでしょうか?
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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