61 和訳はもったいない! Je suis sérieux, moi, je suis précis. C’est difficile. Mais je suis un homme sérieux ! C’est assez poétique. Mais ce n’est pas très sérieux.

その他(王子さま)

ちょっと長いですが… 

今回は、5つものフレーズを扱うことにしました。 

けれど、繰り返されている単語や表現もあります。 

この5つを一緒に考えることで、和訳の限界が見えてきますよ! 

このフレーズの場所と背景 

では、単語に入る前に、今回の5つのフレーズ、「Je suis sérieux, moi, je suis précis.」「C’est difficile.」「Mais je suis un homme sérieux !」「C’est assez poétique.」「Mais ce n’est pas très sérieux.」の場所と背景を確認しておきます。 

この5つのフレーズは、第13章の中ほど以降にあります。 

第13章では、王子さまと、訪問先のビジネスマンとの会話が続きます。 

5つのうち、「Je suis sérieux, moi, je suis précis.」「C’est difficile.」「Mais je suis un homme sérieux !」は、ビジネスマンのセリフです。 

そして残りの2つ、「C’est assez poétique.」「Mais ce n’est pas très sérieux.」は、王子さまが心の中で思ったことです。 

「je suis ~」 

「je suis ~」の意味は「わたし(僕・オレ)は~です」。 

「je」は、「わたし」「僕」「オレ」などに相当。 

「suis」は、être動詞の1人称単数の活用形で意味は「~です」。  

「sérieux」 

「sérieux」は、人に対して使うなら「まじめな」「勤勉な」「熱心な」「誠実な」「真剣な」、事柄について使うなら「重大な」「深刻な」「顕著な」という意味です。 

「sérieux」の女性形は「sérieuse」で、発音が変化します。 

女性形の語尾の「s」は、音が「z」になります。 

「moi」 

「moi」の意味は「私」ですが、「je」の強勢形と言われる形です。 

「précis」 

「précis」は、人に対して使うなら「言葉が明確な」「きちょうめんな」、モノや事柄について使うなら「正確な」「的確な」「明確な」という意味です。 

「précis」の女性形は「précise」で、発音が変化します。 

女性形の語尾の「s」は、音が「z」になります。 

「c’est」 

「c’est」は、「これ(それ・あれ)」を意味する「ce」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。 

意味は「これ(それ・あれ)は~です。」 

「difficile」 

「difficile」の意味は「難しい」「困難な」で、形容詞です。 

女性形であっても、形が変わりません。 

「mais」 

「mais」の基本的な意味は「しかし」「けれど」で、逆説を表します。 

「un homme」 

「un」は、不定冠詞男性単数形。 

「homme」は「人/人間」「男/男性」を意味する男性名詞です。 

「assez」 

「assez」は、「十分に」「かなり」という意味です。 

「poétique」 

「poétique」は、「詩の」「詩に関する」「詩情あふれる」という意味です。 

「詩」を意味する「poème」由来のことばです。 

「ce n’est pas」 

「ce n’est pas」は、「c’est」の否定形です。 

「n’est」は、「ne」と、être の3人称単数の活用形「est」が合わさってできています。 

意味は「これ(それ・あれ)は~ではない。」です。 

「très」 

「très」は、「とても」を意味します。 

「Je suis sérieux, moi, je suis précis.」 

1つ目のフレーズは、ビジネスマンのセリフです。 

ビジネスマンがつぶやいた数字に興味を持った王子さま。 

「そのたくさんの数字の何?」のように質問します。 

するとビジネスマンは、「501,622,731だ。」と言い、この1つ目のフレーズになるのです。 

「sérieux」と「précis」について 

このビジネスマンは「Je suis sérieux, moi.」を何度も繰り返す人です。 

「sérieux」は、「真剣な」または「まじめな」という意味で使っているのでしょう。 

そして「précis」は、具体的な数字を細かく言っていて、「きちょうめん」ですよね? 

「C’est difficile.」「Mais je suis un homme sérieux !」 

この2つ目と3つ目のフレーズも、ビジネスマンのセリフです。 

彼はこの直前で、自分のビジネスについて「何度も数え直す」と言って、この2つのフレーズになります。 

「difficile」は、「困難」つまり「大変」だと言いたいのでしょうか。 

そして「でも、まじめなんだ!」ということですね。 

「C’est assez poétique.」「Mais ce n’est pas très sérieux.」 

この4つ目と5つ目のフレーズは、王子さまが思ったことでした。 

王子さまが「十分に詩的」「だけど不誠実」だと思ったのは、星のビジネスについて。 

ビジネスマンが、星を銀行に預けることができると言ったからです。 

「sérieux」について 

今回扱うフレーズに「sérieux」という言葉が3回登場しています。 

うち2回はビジネスマンの「Je suis sérieux」「Mais je suis un homme sérieux !」で、彼は口ぐせのように言っています。 

そして3回目は、王子さまが思った部分の「Mais ce n’est pas très sérieux.」でした。 

和訳すると… 

この3回の「sérieux」は人に対して使われているので、「まじめな」「勤勉な」「熱心な」「誠実な」「真剣な」という意味です。 

このように、いろいろな意味を持つ単語を和訳すると、どれかを選ぶことになるのですが、ビジネスマンが自分を評価して使う「sérieux」と、王子さまが否定的に使う「sérieux」には、若干のニュアンスの違いがありそうです。 

この違いは、王子さまとビジネスマンという、似ても似つかない2人の、生き方の違いにもつながっているのです。 

訳してどれか1つだけを選ぶと、「sérieux」が限定されてしまうように感じます。 

この記事を音声で聞くなら 

シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。 

下のリンクのクリックでこの記事に該当するエピソードに飛びますので、発音の確認などにお使いくださいね! 

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