方言話者は有利
突然ですが、あなたは方言を話しますか?
もし方言を話すなら、それは外国語を学習する際に有利になるということを知っていますか?
地方出身者の変身
学生時代、首都圏で生まれ育った私は、地方出身の友人に驚かされたことがありました。
それまで「普通に」話していた友人が、母親などからの電話を受けたとたんに変身してしまったからです。
方言で話すためなのですが、まるで性格まで変わってしまったかのように、私の目には映りました。
同じ日本語で話しているはずなのに、私には理解できないこともしばしばでした。
「バイリンガルみたいで、カッコいいな」と思ったことも、1度や2度ではありません。
「生まれ変わったつもり」
ところで、学生時代からは時間が経ってからですが、急な結婚と、それに伴うフランスへの移住で、バイリンガルにならざるを得ない状況になりました。
今考えると、英語ですら苦手なのに、いきなりフランス語など無理があるのですが、後戻りはできません。
環境や時間にかなりの制約があったため、また、語学の勉強が苦手だったこともあり、私が思い切って取り入れたのは、「生まれ変わったつもり」になることでした。
もう1度、赤ちゃんになったつもりでフランス語を吸収しようと考えたのです。
当時の状況について
もちろん、もうあまり若くはないという自覚はありましたが、ゆっくり勉強する余裕も、優秀な語学教師を雇うお金も、フランス語をあきらめるという選択肢もない私には、常識的な方法は通用しないと思ったのです。
かなりの田舎で、買い物などで外出しない限りは人に会うことも少なく、フランス人の主人は仕事がとても忙しかったので、1日の大半はひとりぼっちです。
心がけたこと
インターネットのない頃だったので、テレビや新聞などしかないのですが、何でも「へえ~!」「ふ~ん!」というつもりで接しようとしました。
意識的に集中しようとすれば、長くは続かないだろうと考えたからです。
また、どんな赤ちゃんでも、努力して吸収しているのではなく、好奇心が作用しているのではないかと想像したためでもあります。
もうひとりの自分の誕生
数ヶ月が経った頃には、自分の言いたいことが多少は言えるようになっていました。
そして、ふと気がつくと、まるで別人格の自分がいるようだと自覚しました。
日本語、つまり私にとっての母国語を話している自分とは異なる、フランス語を話している時の、別の自分が出来上がっていたのです。
それは、学生時代に出会った、地方出身の友人たちが、地元の方言を話している時に別の姿を見せていたのと似ていることに気づいたのです。
無謀な挑戦
「生まれ変わったつもり」「赤ちゃんになったつもり」になるというのは、他の人にアドバイスされたわけでも、まして学習方法として調べたわけでもなかったので、方言を話す友人たちの姿を思い出すまでは、かなり不安でした。
私には身近にバイリンガルやトライリンガルなどがいなかったので、かなり無謀とも言える挑戦だったのです。
方言と言えども、理解できない言語という意味ではフランス語と同じだったので、妙に安心できたのを覚えています。
みんな違う自分に!
そして、この「生まれ変わったつもり」になる学習方法は、いろいろな意味で最強なのだということが分かってきました。
特に、何人かの多言語話者に太鼓判を押してもらってからは、それが間違いではなかったのだと確信できるようになったのです。
そうした人たちは、口をそろえて「〇〇語を話す時の自分と、△△語を話す時の自分、××語を話す時の自分は、みんな違う」と言うのです。
「方言を話す自分」の大切さ
もしあなたが方言を話すなら、もうすでに「生まれ変わったつもり」になる学習方法の予行練習を済ませているようなものです。
いわゆる標準語とは、異なる単語・異なる語調・異なるイントネーションなどを、すでに身につけていて、「標準語を話す自分と、方言を話す自分」という2種類の自分を経験済みだからです。
私の知る多言語を話す人たちは、2ヶ国語を話せれば3番目はラクになり、さらに4番目はもっとラクになると言います。
残念ながら私は方言を話せませんが、話せていたら、もっとスムーズにフランス語を吸収できていただろうと思っています。
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