王子さまのふるさと
王子さまの星は、1軒の家より少々大きい程度の、本当に小さな星。
それが実感できるのが、今回のフレーズです。
自然災害さえも容易にコントロールできそうなこのサイズ感は、おままごとのような楽しさがあります。
そして今回のフレーズで定冠詞・不定冠詞が勢ぞろいしたので、1度まとめておきたいと思います。
このフレーズの場所と背景
では、単語に入る前に、今回の「Les éruptions volcaniques sont comme des feux de cheminée.」の場所と背景を確認しておきます。
このフレーズは、第9章の始めにあります。
第9章では、王子さまとバラの花との別れが描かれています。
このフレーズは第9章の2枚目の挿絵の直前にあります。
王子さまとバラの花との会話の前の説明部分です。
「les」
「les」は「ある特定のもの」を指すときに使われる、定冠詞の複数形です。
定冠詞を整理しておきます。
- 「le」定冠詞単数形男性
- 「la」定冠詞単数形女性
- 「les」定冠詞複数形
複数になると、男女ともに同じ「les」を使います。
「éruptions」
「éruptions」は、「噴火」を意味する女性名詞「éruption」の複数形です。
「volcaniques」
「volcaniques」は、「火山の」「火山性の」を意味する形容詞「volcanique」の複数形です。
「éruptions」が複数形なので、「volcaniques」も複数形です。
「火山」は「volcan」で、男性名詞です。
「sont」
「sont」は、英語の be動詞に相当する、être動詞の3人称複数の活用形です。
「comme」
「感動のcomme」「比較のcomme」としてご紹介済みですが、ここでは「比較のcomme」で、「~のように」「~のような」という意味です。
「des」
「des」も、複数回にわたってご紹介済みですが…、今回の「des」は同音異義語、しかもまったく同じスペルです。
今回の「des」と、ご紹介済みの「des」の両方をまとめます。
今回の「des」
今回の「des」は、不定冠詞の複数形です。
不定冠詞を整理しておきます。
- 「un」不定冠詞単数形男性
- 「une」不定冠詞単数形女性
- 「des」不定冠詞複数形
ご紹介済みの「des」
この単語は「de」と「les」という、2つの単語が合わさってできています。
つまり「de + les = des」ということです。
「de」は「~の~」という意味ですが、「A de B」だと「BのA」なので、日本語とは語順が逆になります。
「de」は前置詞、「les」は定冠詞の複数形です。
「feux」
「feux」は、「火」「火災」「火事」を意味する男性名詞「feu」の複数形です。
「de」
「de」は前置詞で、いろいろな使い方がされます。
ここでは「cheminée」と一緒に使われることで、名詞を導いています。
「cheminée」
「cheminée」は、「暖炉」「煙突」を意味する女性名詞です。
フランスの暖房システム
突然ですが、あなたの家に暖炉はありますか?
私はフランスに来るまで暖炉というものを知らず、まして1年に1度の手入れが必要だということなど考えてもみませんでした。
定期的に煙突掃除をしないと、火事の原因になりやすいのだそうです。
「cheminée」という単語に「暖炉」「煙突」という2つの意味があるのは、この2つが切っても切れない関係だからかもしれません。
言葉のかたまりを見てみると
「Les éruptions volcaniques sont comme des feux de cheminée.」というフレーズを、言葉のかたまりに分けてみます。
主語が少々長く、その次に動詞の「sont」、そして「比較のcomme」があるので、「Les éruptions volcaniques sont comme ~.」で1つ、そして比較の対象が「des feux de cheminée」だということがわかります。
つまり「Les éruptions volcaniques」、「火山性の噴火」は「~のようだ」と言っている部分が1つ目です。
そしてその比較の対象が「des feux de cheminée」、「暖炉の火」だと言っています。
背景を見てみると
今回のフレーズは第9章の始めにあります。
ここでは語り手の男性が王子さまとの会話で得た情報をもとに、王子さまが自分の星から旅立った時の「火山の手入れ」などが説明されています。
王子さまの星は本当に小さいので、まるで煙突の手入れをするように、火山の手入れができてしまうわけです。
日本人の苦手な冠詞
冒頭でお伝えした通り、今回ご紹介した不定冠詞複数の「des」で、定冠詞と不定冠詞がすべてそろったので、まとめてみました。
なお、この他に部分冠詞というものも存在するのですが、これをご紹介するのはもう少し後になる予定です。
日本語には冠詞が存在しないうえ、フランス語は英語以上に何にでも冠詞をつけたがる言語なので、やっかいです。
でも、今回の冠詞のまとめで定冠詞と不定冠詞の全体像は分かっていただけたと思うので、あとは何度も触れながら感覚をつかんでいけば大丈夫です。
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シリーズ【フランス語版 星の王子さまのフレーズ】は、ポッドキャストでも配信しています。
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